共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

骨格筋超音波画像の周波数解析による新しい筋内脂肪指標の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K11271
体系的課題番号
JP20K11271
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

骨格筋超音波画像のエコー輝度(筋輝度)は簡便な筋内脂肪量の指標として用いられている。しかし筋輝度は画像の白さの平均値にすぎず、また組織の深さによるエコー減衰を生じることから、筋内脂肪量としての精度は決して高くはないという欠点があった。そこで本研究では、筋輝度に周波数解析を適応することで、エコー減衰をしにくく、筋内脂肪量を精度高く反映する新しい指標を開発することを目的とした。
本研究は高齢者を対象とした2年間の縦断研究である。2021年度は、高齢者の比較対照としての若年者43名(男性22名、女性21名)を測定した。測定項目は高齢者と同様で、骨格筋評価(大腿四頭筋の超音波撮像、大腿部のMRI撮像および生体電気インピーダンス測定)、筋力・運動能力評価、身体活動量、質問紙であった。測定終了後、超音波画像から筋厚と筋輝度、MRI画像から筋断面積と筋内脂肪割合(2-point Dixon法)を算出した。
エコー減衰を防ぐ手法のひとつとして、前年度、フォーカス位置を筋中央に合わせる方法を考案した。昨年度は高齢者のデータのみで実施したが、より幅広い測定値のレンジでの検証のため、本年度は高齢者と若年者を組み合わせた対象で解析を実施した。結果、大腿四頭筋における筋輝度とMRI筋内脂肪割合との相関は、フォーカスを画像最上部に合わせるよりも筋中央に合わせる、もしくは筋よりも深部に合わせる方が、高くなることが明らかとなった。しかし、フォーカスを筋中央に合わせた場合でも、組織の深さと筋輝度とは負の相関があり、エコー減衰を完全には防げないことが明らかとなった。また、大腿直筋と比べて中間広筋のほうが筋輝度と筋内脂肪割合との相関が低く、筋輝度と組織の深さの相関は高かったことから、深層筋はフォーカスを筋中央に合わせたとしてもエコー減衰の影響を強く受けていることが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K11271
ID情報
  • 課題番号 : 20K11271
  • 体系的課題番号 : JP20K11271