共同研究・競争的資金等の研究課題

1986年 - 1986年

初期地論宗の思想的研究

文部科学省  科学研究費補助金(一般研究(C))  一般研究(C)

課題番号
61510010
体系的課題番号
JP61510010
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
900,000円
(直接経費)
900,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

私は、従来、唯識思想及び『大乗起信論』の研究を進めてきた。その中で未解決の『起信論』の成立の問題や、『起信論』の教理そのものを深く究明するには、まず地論宗の思想そのものを解明すべきであるという考えに達し、近年、地論教学の研究を進めているものである。地論宗は、菩提流支訳の『十地経論』を所依とし、他に菩提流支訳の『楞伽経』『深密解脱経』や世親の釈経論,『金剛仙論』など、また同時代の勒那摩提の『宝性論』などから、その教学を構成している。その独自の点については、これらの原典(サンスクリット)もしくはチベット訳と漢訳との間に存する差異から追究しうると考えられる。この立場から、本年度は、菩提流支訳の諸経論の原典等に目を向けることとした。まず、漢訳『十地経論』が、いかに『起信論』と密接な関係にあるかを、チベット訳等を参照しつつ例証した論文をまとめ、発表することができた(『東方学』第72輯)。また、特に菩提流支訳『法集経』に注目し、チベット訳との対照を試みた。『起信論』との関連においては、結果的に、僅かな点しか推摘しえなかった(61年度日本印度学仏教学会にて口頭発表)が、地論教学の基本線を考えるうえでは、得るところもあった。さらに、『起信論』の信が、従来、【s!´】raddh【a!-】として考えられてきたのに対し、『菩薩地』『大乗荘厳経論』をふまえつつ『宝性論』(各原典)と比較研究することに...

リンク情報
URL
http://kaken.nii.ac.jp/d/p/61510010.ja.html
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-61510010
ID情報
  • 課題番号 : 61510010
  • 体系的課題番号 : JP61510010