熱物性の違いを利用した福島原発事故由来放射性微粒子の判別
環境放射能除染学会第8回研究発表会
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- 開催年月日
- 2019年7月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 郡山
- 国・地域
- 日本
福島原子力発電所事故により放出された放射性Csの多くは土壌中の風化黒雲母(WB)等の粘土鉱物に吸着されたが、一部は珪酸塩ガラスを主成分とする微粒子(CsMP)に含まれて飛散した。WBに吸着したCs-137は数十ミクロンの鉱物粒子あたり多くても10$^{-2}$Bqオーダーであるのに対し、CsMPの場合は数$\mu$mの球体の中にCs-137が数Bq程度含まれる。本発表ではサイズがさらに小さく放射能が低いCsMPを報告するとともに、CsMPとWBの熱物性の違いを利用したこれらの判別法を提案する。福島県にあった農業用不織布や汚染土壌から放射性粒子を採取し、SEM-EDSによる同定、およびイメージングプレート(IP)を用いたオートラジオグラフィーによる放射能測定を実施した。その結果、0.05Bq以下のCsMPを5個、0.05Bq以上のWBを2個特定し、放射能がWBを下回るCsMPの存在が確認された。次に耐熱接着剤を基板上に塗布し、そこに汚染土壌を均一に分散して800$^{\circ}$Cでの加熱の前後でIPオートラジオグラフィーを行った。福島県内の2か所で採取した土壌を調べると、輝点の輝度変化に違いがみられ、熱物性の違いを利用することでCsMPと放射性鉱物粒子を判別できる可能性が示された。