論文

査読有り
2010年11月

イオン液体中のハロフェノールの放射線分解

Radiation Physics and Chemistry
  • 木村 敦
  • ,
  • 田口 光正
  • ,
  • 近藤 孝文*
  • ,
  • Yang J.*
  • ,
  • 永石 隆二
  • ,
  • 吉田 陽一*
  • ,
  • 広田 耕一

79
11
開始ページ
1159
終了ページ
1164
記述言語
英語
掲載種別
DOI
10.1016/j.radphyschem.2010.05.004

新規機能性溶媒であるイオン液体はイオン対で構成されていることから、クーロン場として電荷を有する活性種と相互作用してイオン反応を促進する。一方で、放射線化学反応において重要な活性種の一つである溶媒和電子は、高い反応性を有することから数多くのイオン反応に関与する。本研究では、溶媒和電子の捕捉剤であるハロフェノールを用いて、イオン液体中の溶媒和電子の反応挙動について調べた。その結果、各イオン液体中のクロロフェノール(CP)の分解G値(0.73)が溶媒和電子の生成G値(0.8)とほぼ一致したこと、さらに溶媒和電子捕捉剤である亜酸化窒素を飽和したイオン液体中でフェノールの生成G値が0.5から0.2程度に大幅に減少したことから、CPの分解には溶媒和電子が大きく寄与している、すなわち解離的電子付着反応が起きていると考えられる。また、イオン液体中のハロフェノール(フルオロ,クロロ,ブロモ、及びヨードフェノール)の$\gamma$線分解におけるフェノールの生成G値(0.5)は、フルオロフェノールを除いてほぼ一定となった。以上より、イオン液体は放射線還元における優れた反応場として利用できると考えられる。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.1016/j.radphyschem.2010.05.004
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5025719
ID情報
  • DOI : 10.1016/j.radphyschem.2010.05.004
  • ISSN : 0969-806X

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