2021年4月 - 2026年3月
岩石・氷・ガス惑星の衛星形成の総合的モデル:太陽系、系外惑星系
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
円盤の化学組成と相状態: 惑星は一般に中心から鉄、岩石、氷、大気の層構造を持ち、天体衝突で飛び出す物質の組成や相状態は、惑星や衝突天体の組成や質量により大きく変わる。周惑星円盤の組成および各成分の蒸発率を統一的に求めるために、様々な化学組成、質量の惑星に対して、蒸発や凝縮といった現実的な相変化を組み込んだ高精度衝突数値計算を、パラメータを変えて系統的に実行した。その結果、氷成分を多く含む惑星同士の衝突で形成される周惑星円盤においては、大型の衛星の集積は極めて制限されることが定量的にわかった。このことは、天文観測サーベイがすでに始まっている、太陽系外の惑星のまわりをめぐる衛星を考える際には重要である。この結果の第一報は高インパクトファクターを持つ学術誌 Nature Communications に発表した。今後もさらに詳しい解析を続けたい。
小天体の潮汐捕獲と円盤形成 : 小天体は惑星に近づくと潮汐変形でエネルギーを失って、惑星重力場に捕獲されると同時に破壊されて、破片円盤を作る可能性が高い。潮汐破壊時にも温度は上がり、放出された破片粒子は当初は楕円軌道を持つので、破片同士の衝突速度は大きく、その衝突でも加熱を受ける。このような加熱過程を詳しく調べるために、重力N体数値シミュレーションを行った。その結果、氷を主成分とする天体の破壊によって作られた氷粒子の破片円盤であっても、加熱は十分には強くなく、そこに含まれていた有機物の多くは残ることが示された。今後、この結果を詳しく解析していきたい。
小天体の潮汐捕獲と円盤形成 : 小天体は惑星に近づくと潮汐変形でエネルギーを失って、惑星重力場に捕獲されると同時に破壊されて、破片円盤を作る可能性が高い。潮汐破壊時にも温度は上がり、放出された破片粒子は当初は楕円軌道を持つので、破片同士の衝突速度は大きく、その衝突でも加熱を受ける。このような加熱過程を詳しく調べるために、重力N体数値シミュレーションを行った。その結果、氷を主成分とする天体の破壊によって作られた氷粒子の破片円盤であっても、加熱は十分には強くなく、そこに含まれていた有機物の多くは残ることが示された。今後、この結果を詳しく解析していきたい。
- ID情報
-
- 課題番号 : 21H04512
- 体系的課題番号 : JP21H04512