2019年4月 - 2023年3月
隕石および太古代火成岩の親鉄元素同位体分析による地球形成モデルの構築
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
前年度の研究により、隕石のモリブデン化学分離法を地球試料に適用した場合、スズおよびニオブがモリブデンと共存してしまうことが判明した。そこで、陰イオン交換樹脂を用いた新たな化学分離過程を加えることにより、この問題を解決した。また、表面電離型質量分析計(TIMS)を用いたモリブデン同位体分析法では、新たにダブルフィラメントを用いた分析法の開発を行った。従来のシングルフィラメントでは1回の分析に2000 ngのモリブデンを必要としたが、新たな方法の開発により、従来の25%(500 ng)のモリブデン量で同精度の分析が可能となった。
太古代地球試料の分析では、変質したコマチアイトに代わり、初期太古代アカスタ片麻岩体苦鉄質岩を対象にモリブデン同位体分析を行った。これらの試料は源岩形成以降に変成作用を被っているが、オスミウム同位体比の解析からレニウムやモリブデンに関する移動が生じていないことが示された。そこで、新たに開発したスズおよびニオブを除去する化学分離法、並びにダブルフィラメントを用いたモリブデン同位体分析法を5試料に適用した。その結果、誤差範囲を超える非質量依存モリブデン同位体異常は見つからなかった。このことは、アカスタ片麻岩体苦鉄質岩の起源物質は既に現在の地球マントルと同じモリブデン同位体組成を持っていたことを意味する。
理論研究では、前年度に引き続き、地球型惑星の成長における地殻・マントル・コア間の元素分配に関する理論モデルの構築を進めている。
太古代地球試料の分析では、変質したコマチアイトに代わり、初期太古代アカスタ片麻岩体苦鉄質岩を対象にモリブデン同位体分析を行った。これらの試料は源岩形成以降に変成作用を被っているが、オスミウム同位体比の解析からレニウムやモリブデンに関する移動が生じていないことが示された。そこで、新たに開発したスズおよびニオブを除去する化学分離法、並びにダブルフィラメントを用いたモリブデン同位体分析法を5試料に適用した。その結果、誤差範囲を超える非質量依存モリブデン同位体異常は見つからなかった。このことは、アカスタ片麻岩体苦鉄質岩の起源物質は既に現在の地球マントルと同じモリブデン同位体組成を持っていたことを意味する。
理論研究では、前年度に引き続き、地球型惑星の成長における地殻・マントル・コア間の元素分配に関する理論モデルの構築を進めている。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H00715
- 体系的課題番号 : JP19H00715