基本情報

所属
富山大学 芸術文化学部 講師
(兼任)大学院 人文社会芸術総合研究科 講師
学位
博士(スポーツ科学)(早稲田大学)
修士(学術)(電気通信大学)

研究者番号
40758588
J-GLOBAL ID
201601007176210670
researchmap会員ID
B000266259

日本の武術や芸能を対象とした人類学的研究を行っております

これまで、日本の武術を対象とした人文社会科学的研究の多くが、歴史学の手法を用いたものでした。私の興味関心は、日本の武術や芸能、民族スポーツの「いま、ここ」という、現在における実態を捉えることにあります。そのため、文化人類学的手法を取っております。

現在は以下のことに興味があります。


① 祭りをめぐる人びとの協働の人類学


日本には数多くの祭りがありますが、一方で祭りに関わる人が減少していることも知られています。一般に「担い手不足」と呼ばれる、現代日本の一つの大きな社会問題です。地縁や血縁による共同体が薄まり、多くの人々が移動をする今日において、祭りを担う人々の減少は歯止めなく続き、継続が問題視されていることは知られるところです。他方で、祭りは近年よく話題になるユネスコ無形文化遺産登録などにみられるように、「文化資源」とみなされ、地域活性化や観光資源として期待されています。また、祭りの場には従来の担い手以外にも、たくさんの人びとが関わるようになり、また国の政策とても推奨されています。

現代の祭りには、このようにいくつかの文脈が走り、それらが複雑に絡み合いながら実践されています。普段は別の地域に住む人の参加、祭りをやりたいから地域社会で生きることを選択する人の存在、積極的に動画撮影をしてYoutubeで祭りの様子を発信するYoutuber、祭りに惹きつけられて毎年のように訪れる人びと、祭りを中心に様ざまなつながりが生まれています。こういった現状がある中で、これまでの祭りの研究は、継承や保存、資源としての活用といった面ばかりがクローズアップされてきました。

 

確かに「担い手不足」という現状や観光資源としての側面が話題になりますが、しかし祭りを実際に見た時、そういった側面よりも先に、祭りをする人びとの活き活きした姿と、その熱量を感じるはずです。保存や活性化のための資源といった「客体」としての姿ではなく、祭りを行うことに対する情熱や喜び、楽しい、かっこいいといった感情を発露する、活き活きとした主体的な姿が見られるはずです。そういった姿から、私たちは熱や感動を受け取ります。

 

では、わざを学び、教え、その地域社会において実践する、現代においてそれらの実践することは、彼らにとってどのような意味があるのでしょうか。祭りに関わる人々は彼らの生活世界において、自らの実践をどう捉えているのでしょうか。なぜ祭りはあれほどまでに人びとの感情に訴えかけるのでしょうか。私は、現在における祭りの実践を、保存や継承、活用といった側面からではなく、「いま、ここ」という目の前で繰り広げられる実践から描く方法を考えています。

 

 

②「見せる」武術の人類学:芸能武術論


武術というと、剣道や柔道といった武道と呼ばれる一群を想像するかと思います。今日スポーツとして行われる武道ですが、他方で、お祭りで行われる芸能の中には刀や棒、薙刀といった武器を用いて武術の形を演武するものが多くあります。また、実写版映画『るろうに剣心』や『子連れ狼』、『暴れん坊将軍』などの時代劇の殺陣、舞台上で行われる剣舞など、「見せる」ことを目的に行われる武術が、実は沢山あります。


しかし、これらの「見せる」武術を、我々は先に挙げた武道とは一緒に考えません。こういった「見せる」武術は、江戸時代中頃にはすでに数多く行われていたと考えられ、明治維新以降も数多く実践されてきましたが、我々はその系譜を忘却しています。なぜなのか。また、そのような「見せる」武術の系譜とは、いったいどのような意味を持つものであるのか。私は、「見せる」ことを目的に行われるような武術を「芸能武術」と呼称し、そこから今日まで武術が伝承される意義について考えています。

 

 

 

より具体的に知りたい等、関心を持っていただいた場合はぜひ論文をご笑覧ください。

 
※田邊研では大学院生の募集をしております。武術はもちろん、祭り、芸能全般についての人類学的研究に興味がある方は、tanabeあっとtad.u-toyama.ac.jpまでご連絡ください。


学歴

  2

論文

  14

MISC

  6

書籍等出版物

  2
  • 寒川恒夫研究室編 (担当:分担執筆, 範囲:スポーツ用具と人の関係を巡る人類学的考察)
    虹色社 2019年7月
  • 寒川恒夫編 (担当:共著, 範囲:「YOSAKOIソーランの国内伝播」、「評価される動き」、「踊りの真正性」、「『芸能武術』は踊りか」、「武術マンガ:『グラップラー刃牙』にみる『止め』の美の世界」)
    ミネルヴァ書房 2017年3月

講演・口頭発表等

  17

担当経験のある科目(授業)

  14

所属学協会

  7

共同研究・競争的資金等の研究課題

  11