基本情報

所属
帝京大学 薬学部 講師
学位
博士(薬学)(2010年3月 東京大学)
修士(薬学)(2005年3月 東京大学)
学士(薬学)(2003年3月 東京大学)

J-GLOBAL ID
201301055577194831
Researcher ID
L-2581-2015
researchmap会員ID
B000226602

外部リンク

私は岩坪威教授(東京大学薬学部、当時)の研究室で、主要な神経変性疾患であるパーキンソン病の病態生化学から研究をスタートし、Dario Alessi教授(英国スコットランドDundee大学)、富田泰輔教授(東京大学薬学部)の研究室を経て、楯直子教授(帝京大学薬学部)の研究室に異動した現在でも、パーキンソン病やアルツハイマー病に関連するタンパク質の機能や性状の解析から発症メカニズムを明らかにするべく研究を進めています。

特に、大学院生の頃から現在に至るまで、leucine-rich repeat kinase 2(LRRK2)というキナーゼに注目して研究を行ってきました(Ito et al., Biochemistry, 2006; Kamikawaji et al., Biochemistry, 2009; Ito and Iwatsubo, Biochem J, 2012; Kamikawaji et al., Biochemistry, 2013; Ito et al., PLOS One, 2014)。LRRK2は2004年に家族性パーキンソン病の原因遺伝子として同定されたものですが、遺伝子変異のある家族性パーキンソン病だけでなく、孤発性パーキンソン病のゲノムワイド関連解析でも発症リスクとの関連が示されているため、パーキンソン病の発症に重要な役割を果たすことが強く示唆されている分子です。

私は、LRRK2が小胞輸送関連の低分子量Gタンパク質であるRabタンパク質をリン酸化することを明らかにしてきましたが(Steger et al., eLife, 2016; Ito et al., Biochem J, 2016; Fan et al., Biochem J, 2018)、Rabの機能制御におけるリン酸化の意義や、それがパーキンソン病の発症において果たす役割は明らかになっていません。現在は、LRRK2の生理的機能や(Araki et al., Hum Mol Genet, 2021)、パーキンソン病においてLRRK2の異常活性化が生じるメカニズム(Eguchi et al., PNAS, 2018; Ito-Nagai et al., JBC, 2022)、それによって生じるRabタンパク質のリン酸化の異常が神経変性をひき起こすメカニズムを解明するべく研究を進めています(Ito K et al., FASEB J, 2023; Ito G et al., BBRC, 2023)。

また、帝京大学に移ってからは、研究室の主な研究テーマであるアミノ酸D-体異性化が神経変性疾患の発症にもたらす影響を明らかにするべく、生化学、物理化学的手法を用いた研究にも着手しました。タンパク質中のアミノ酸D-体異性化は、アスパラギン酸などにおいて生体内で非酵素的に生じる現象であり、加齢とともに増加します。そのため、アルツハイマー病の脳で異常線維化して蓄積するアミロイドβやタウタンパク質の線維化のきっかけとなる可能性があります。

タンパク質のアミノ酸D-体異性化は細菌の細胞壁合成において普遍的に見られますが、高等生物における役割や、そもそもどの程度生じるのか、その生理的・病的意義などは全く分かっていません。LRRK2研究で培ってきたプロテオミクスの技術を応用して、タンパク質のアミノ酸D-体異性化を網羅的に解析する手法の開発にも取り組んでいます。


学歴

  2

主要な論文

  32

MISC

  5

書籍等出版物

  4

講演・口頭発表等

  48

担当経験のある科目(授業)

  14

主要な所属学協会

  7

共同研究・競争的資金等の研究課題

  7