共同研究・競争的資金等の研究課題

1997年 - 1999年

新規高次神経変性疾患モデル動物・細胞の開発,神経変性機序の解析と薬効評価法の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
09357019
体系的課題番号
JP09357019
配分額
(総額)
35,300,000円
(直接経費)
35,300,000円

老化促進モデルマウス(SAM : senescence accelerated mouse)のP系は促進老化を示し,活動性の低下,脱毛,寿命短縮などの共通の老化所見を示す.SAMP8およびP10は学習記憶障害を示し,痴呆を主とする神経変性疾患の病態モデルとして,また脳の老化機構解析のモデルとして有用である.今回の3年間の研究で以下のような新しい知見を得た.
1)強制水泳実験による行動学的解析からP10が情動障害(うつ症状)を有すると考えられた.SAMP10の情動障害は三環系抗うつ薬デシプラミン投与により改善された.
2)P10脳の中脳領域(視床下部も含む)や大脳皮質では,D2/D3受容体結合量が有意に増加していた.5HT1A受容体結合は,P10海馬においてR1に比較し有意に増加していた.
3)記憶障害を発症するSAMP8(3-6ヶ月齢)にタマネギ水抽出物を2ヶ月間経口投与し(5ml/kg),Morris's water maze法で検討したところ,記憶障害の発症が改善された.
4)4血管閉塞(4VO)ラットの海馬Ca1領域のニューロン死および中大脳動脈結紮による永久全脳虚血(MCAO)ラットの脳梗塞巣のサイズは,dihydropyridine誘導体でありL型Caチャネル遮断作用とカルモジュリン拮抗作用を有するCV-159の経口投与(5-10mg/kg)により抑制された.さらに4VOラットにおいてGDNF(グリア細胞由来栄養因子)の海馬実質内への注入はCA1領域のニューロン死を抑制した.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-09357019
ID情報
  • 課題番号 : 09357019
  • 体系的課題番号 : JP09357019