2021年4月 - 2024年3月
ヒト肉腫自然発症モデルを利用した血中悪性化指標マーカーの探索
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
申請者らは、ヒト骨肉種では転写制御因子PRRX1が高発現していることを見出しているだけでなく、PRRX1の発現量が高い患者は予後不良を示すことも明らかにしている。さらに、マウス骨肉腫モデルでもPRRX1が発現しているだけでなく、ヒト骨肉腫細胞株143Bにおいては、PRRX1のノックダウンによって増殖性や浸潤性が低下するだけでなく、ドキソルビシンとシスプラチンへの抵抗性が解除されることも見出している。これらの研究実績は、Transl Oncol 誌(2021 Vol. 14 Issue 1 Pages 100960)にて発表を行い、骨肉腫におけるPRRX1の増悪因子としての機能を明らかにした。その後、悪性神経鞘腫においてもPRRX1が増悪因子として機能することも見出しており(未発表データ)、肉腫におけるPRRX1の重要性が明らかになってきている。また、Nature Biomedical Engineering誌(2021 Vol. 5 Issue 8 Pages 926-940)にて、ヒト多能性幹細胞から発生過程を模倣した分化誘導方法を用いて、肢芽間葉系細胞を作成する技術に関しての発表を行い、本研究課題を遂行するための研究ツールの開発にも成功している。研究成果は、AMED及び申請者の所属機関である岡山大学にてプレスリリースを行い、一般向けの内容紹介を掲載して公開されている。さらに、ヒト多能性幹細胞から作成した肺オルガノイドを用いて、前がん病変を再現することにも成功している(Int J Cancer 2021 Vol. 149 Issue 8 Pages 1593-1604)。以上の結果から、ヒト多能性幹細胞を用いた腫瘍モデルを構築するための実験技術に関しては、十分整っていると考えられる。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K07192
- 体系的課題番号 : JP21K07192
この研究課題の成果一覧
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論文
1-
British journal of cancer 2024年3月6日 査読有り