共同研究・競争的資金等の研究課題

2010年 - 2012年

ベトナムにおける廃棄物マネジメント・3R推進事業に係る政策効果分析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
10F00313
体系的課題番号
JP10F00313
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
1,900,000円
(直接経費)
1,900,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

本研究は、ベトナムにおける廃棄物マネジメント-3R推進事業に係る技術・政策の費用・環境負荷を定量的に評価するための基礎情報を収集するとともに、各種技術・政策シナリオの費用対効果等を定量的に評価することを通じ、同国における循環型社会形成に資する情報基盤・評価手法を整備・確立することを目的とする。
本年度の研究成果は以下の通りである。
(1)一般廃棄物の発生・排出に係る実態調査
中部フエ市を対象に、事業系一般廃棄物の発生・排出フローについて、ごみ計量調査・アンケート調査(属性、事業種類・規模、ごみ分別等)を実施して排出実態を把握した。また、研究期間前に実施したフエ市の家庭系一般廃棄物の排出実態調査のデータと併せ、フエ市における家庭系・事業系一般廃棄物の発生量を推定した。
(2)一般廃棄物の収集・運搬に係る実態調査
ベトナムでは、一般廃棄物はハンドカートによる各戸収集及びトラックによる中継輸送が主流となっており、分別収集、コンテナ収集はほとんど見られないのが現状である。本研究では、ベトナム国内の事例として、北部ハノイ市における生ごみの分別収集、中部ダナン市におけるコンテナ収災等の各種収集システムを取り上げ、GPS/GISを援用して作業軌跡・作業時間等の作業実態データを収集し、収集・運搬のコスト・収集効率等を比較した。1tあたりの作業時間で見ると、ダナン市のフォークリフトトラックによるごみ容器収集・運搬の収集効率が0.54人時/tで最も効率的であった。一方、ハノイの生ごみ分別収集は2.83人時/tと1tあたり5倍以上の作業時間を要しており、分別収集が分別効率の大幅な低下を招くことが明らかとなった。
(3)廃棄物マネジメント-3R推進事業に係る政策効果分析
前述したベトナム・フエ市の廃棄物の発生・排出等に係る基礎データ及び環境負荷に係る文献データを用いて、ベトナムの一般廃棄物に対して焼却、発電、堆肥化といった3R技術を導入した場合の環境負荷等を比較評価した。その結果、焼却・発電シナリオの温室効果ガスの排出量、エネルギー消費量が最も小さく、環境負荷面での優位性が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-10F00313
ID情報
  • 課題番号 : 10F00313
  • 体系的課題番号 : JP10F00313

この研究課題の成果一覧

書籍等出版物

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  • NGUYEN Phuc Thanh, Yasuhiro MATSUI (担当:分担執筆, 範囲:ベトナムの廃棄物部門からの温室効果ガス排出及び緩和の評価のためのライフサイクルアプローチの現状の適用性及び挑戦に関するレビュー、pp.1-63)
    NOVA Publishers 2013年1月
  • NGUYEN Phuc Thanh, Yasuhiro MATSUI (担当:分担執筆, 範囲:固形廃棄物の堆肥化ポテンシャル:ベトナムメコンデルタにおける持続可能な農業と地球温暖化の緩和に向けて、pp.335-354)
    Springer, Dordrecht 2011年4月2日 (ISBN: 9789400709331)