身近な都市空間を対象とするまちづくりは、市民社会組織が主体的に取り組むことが重要である。しかしわが国の市民社会組織の技術的及び経済的な基盤は未だ脆弱であり、市民社会組織の育成が重要なテーマとなる。本研究の目的は、市民社会組織の育成支援の観点から、練馬区のまちづくり活動助成事業制度の成果と課題を明らかにし、制度設計への示唆を得ることである。本稿では、市民社会組織の育成支援を行う制度として、事業内容の評価については制度規定内容に始まり、対話を通して事業内容の成果を特定し評価していくこと。事前審査、中間評価、事後評価と制度全体を通して評価していくことが重要であることがわかった。また資金提供以外の育成支援の仕組みについては「センター」のような専門家組織が、審査委員会と連携し、書類作成支援から事業実施まで、実践を通してアドバイスをしていくことが重要であるとわかる。すなわち単に1回限りの事前審査のみで資金提供をするのではなく、制度全体を通して育成支援につなげていくことが重要であるとの示唆を得た。