2013年 - 2015年
明清詩論の受容に関する考察を中心とした、近世・近代日本漢文学史の再検討
文部科学省 科学研究費補助金(若手研究(B)) 若手研究(B)
- 課題番号
- 25770081
- 体系的課題番号
- JP25770081
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
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- (総額)
- 2,210,000円
- (直接経費)
- 1,700,000円
- (間接経費)
- 510,000円
- 資金種別
- 競争的資金
本年度に予定していた基礎的な調査について、文献による検討を中心に、ほぼ予定どおり進めることができた。①『日本詩話叢書』『日本芸林叢書』『影印日本随筆集成』などの代表的な詩話・随筆の叢書から、明末の袁宏道、清の袁枚をはじめ、明清時代の詩論史上重要な詩人に関連する記述を抄出し、整理した。また、昌平黌、咸宜園関係者の資料を用いて、詩の流入状況について分析した。②袁宏道、袁枚、趙翼ら、性霊派詩人の日本への流入状況について、すでに発表されている唐船持渡書などの研究の成果を整理するとともに、和刻本などを中心とする彼らの詩の日本における流布状況を調査した。具体的には、日本国内に所蔵されている漢籍の『随園詩話』について書誌的調査を行った。また、『甌北詩話』などの趙翼の詩や詩論が、近世後期の日本においてどのように受容されたかについて検討した。さらに東京大学総合図書館所蔵の森鴎外蔵書の中の性霊派詩人関係の蔵書とそれへの書入れを調査した。このほか、『三家妙絶』などの化成年間に刊行された南宋詩の詞華集についても採録作品や受容状況について検討を行った。③明清時代の性霊派以外の詩人の日本における受容状況について検討を行った。東京大学総合図書館森槐南文庫から得た情報の整理を行い、沈徳潜の日本への影響について考察した。また、江戸後期の詩人の稿本類を調査し、『浙西六家詩鈔』などの日本における受容状況について知見を得た。④清末の詩人兪エツが編んだ『東瀛詩選』の序跋や評、収録された詩について、とくに広瀬旭荘の作品を中心に検討し、兪エツの詩観や評価の有り様を考察した。⑤このほか、以上の事柄と関連する近世・近代における漢詩文文化について考察した。また、とくに近世期の漢詩を再考する際に重要な意味を持つ明治期の詩人の評論を調査を行った。
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- ID情報
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- 課題番号 : 25770081
- 体系的課題番号 : JP25770081