・基礎データ入力
検索システムのコンテンツとなる万葉集データについて、まず基礎文献の調査を行い、データ入力すべき西本願寺本等の写本や万葉代匠記等近世関係の注釈書の本文、訓読と万葉集全注釈や釈注などの近現代の注釈書、校本を特定し、それら諸本の入力および、データ校正を、データの正確さを点検した。
・半構造データベース管理システム
既存の類似のデータベースの調査を行い、万葉集の和歌、題詞、左注、さらに、さまざまな構造をした注釈を含めて管理可能なデータベース管理システムのプロトタイプを作成し、その性能評価を行った。
システムの実装にあたっては、フリーのデータベース管理システムPostgreSQLを用いた。また、万葉集のデータは、和歌を句毎に分割して、注釈は大きく2種類に分類することで格納した。
システムの性能評価は検索における時間を測定することで行った。システムの検索速度は、比較的単純な問い合わせの場合は約10秒程度と、十分に実用的な速度であることが分かった。
・セキュリティ
研究開発中の半構造データベースを保護するための暗号システムの研究開発を行った。ネット理論に基づいて、暗号鍵および復号鍵の生成法を含めた、公開鍵暗号方式の枠組みにおける新しい仕組みを提案し、計算効率と暗号強度の両面から、広く使われているRSA暗号やPGPとの理論的比較検討を行った。その結果、提案の暗号の強度はRSAおよびPGPより遥かに強く、また計算効率もRSAより高いことが分かった。