共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

食肉におけるうま味成分の弁別閾とその変動因解明による「味」評価基準の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K02144
体系的課題番号
JP21K02144
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

本研究は、食肉における「うま味」評価を行うにあたり、うま味成分の弁別閾を求めることで、「うま味成分含有量にどの程度の違いがあれば味の違いがあると見なして良いか」を解明し、評価基準を示すことを最終目的としている。
今年度は、初年度として、食肉のうま味成分の弁別閾を求めるため、グルタミン酸(Glu)の弁別閾についてモデル実験を行った。まず、他の成分が存在しない条件でのGluの弁別閾を調べるため、グルタミン酸ナトリウム(NaGlu)水溶液を試料とした2点法による分析型官能評価を実施した。その結果、NaGluの認知閾値付近においては、分析型パネルはNaGluの濃度の違いを殆ど識別できず、弁別閾を求めることができなかった。続いて、実際の豚肉におけるGluの弁別閾を求める実験を行った。モデルとしては、食感の影響を排し、均一なサンプルで添加試験を実施できるよう、豚肉から抽出した水溶性画分からなるエキスを豚肉と同等の濃度となるよう溶解させたものを用いた。モデルエキスに対し、種々の濃度でGluを添加し、どの程度のGluの濃度差でパネルが識別できるかを解析した。その結果、豚肉モデルエキスにおいては豚肉中で通常あり得るGluの濃度差で弁別されることが明らかとなった。これらの結果から、食肉におけるうま味成分の弁別閾を求めるためには、食肉と同等の呈味成分を含むモデルエキスでの解析が有用であることや、「味」評価のために弁別閾を解明することの有用性が示された。今後、さらに異なるブタ個体由来のサンプルを用いた反復実験を行うことで、詳細な弁別閾を求める必要がある。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K02144
ID情報
  • 課題番号 : 21K02144
  • 体系的課題番号 : JP21K02144