共同研究・競争的資金等の研究課題

2011年 - 2013年

新規器官培養系を用いた骨軟骨前駆細胞の分化決定制御機構の解明と骨再生療法への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
11J04835
配分額
(総額)
2,400,000円
(直接経費)
2,400,000円

初年度に行ったex vivo骨形成検出システムを用いた解析によりHhとBMPシグナルの組み合わせが骨形成を強力に誘導することが明らかとなった。そのため今年度は、本シグナルの組み合わせが、骨再生能を有するか検討した。まず、臨床応用に向けて、低分子化合物が蛋白質の代わりとなるか検討した。本研究室で見出したヘリオキサンチン誘導体(TH)は、BMP様の作用を有することが明らかにされている。そこで、Hhシグナルを活性化する分子化合物(SAG)とTHの組み合わせがHhとBMPシグナル活性化の組み合わせと同等の骨形成能を発揮するか、ex vivo骨形成検出システムを用いて検討した。その結果、SAGとTHの同時曝露により、骨形成がHhとBMPと同様に、顕著に増加した。次に、SAGとTHの同時曝露が骨再生にどのような効果を示すか検討した。まず、骨欠損部を充填するためのインプラントとして、本研究室で開発したテトラポッド型リン酸カルシウム人工骨を用いた。本人工骨をSAGとTH溶液に浸漬することで、これらの化合物を搭載したハイブリッド型骨再生インプラントを作製した。本インプラントから薬剤が徐放し、骨形成を促進することをin vitroの系で確認した。次に、ラット骨欠損モデルを用いて、本インプラントが骨再生能を有するか検討をした。11週齢ラットの大腿骨骨幹部に2.2mm円柱形の骨欠損部を作製し、本インプラントを充填した。14日後に骨切片およびマイクロCTを用いて骨再生能を解析した。比較群として、薬剤を搭載していないインプラントおよび薬剤一種類のみを搭載したインプラントを使用した。その結果、SAGとTHを搭載したインプラントは骨欠損部における骨量を有意に促進させた。また骨が再生された組織中には骨芽細胞の前駆細胞のマーカーであるOsterixを発現する細胞が確認された。以上より低分子化合物群と人工骨の組み合わせにより、骨欠損の再生を誘導する骨再生インプラントの開発に成功した。

ID情報
  • 課題番号 : 11J04835