講演・口頭発表等

2018年11月25日

移動を前提として都市で生きる子ども達と生活世界

日本質的心理学会第15回大会
  • 木下 寛子

記述言語
日本語
会議種別
シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
主催者
日本質的心理学会
開催地
名桜大学(沖縄)

本発表は、会員企画シンポジウム「農と子どもと心理学」(企画・話題提供:菅野幸恵(青山学院女子短期大学)・石井宏典(茨城大学)・木下寛子(近畿大学九州短期大学)/話題提供:浜田寿美男)における話題提供である。
本発表では、福岡市内の都市中心部に近い校区で、移動を前提として生きる子ども達(特に「多文化の子」(外国人児童生徒等))を中心に、その生活世界とそこでの育ちを描くことで、「農的営み」からの近さと隔たりを問う。この校区での生活に立ち会っていると、確かに子ども達は「育てられる者」としての立場に固定され、大人以上に自らの生活を支えることから隔てられているようである。しかし一方で、子ども達は誰かや何かに関わって日々を過ごしており、世界の方から多様な意味を受け取り続けている。そしてその日々(世界)は多様に大きく分節して、互いに全く別の在り方を十全なものとして予示し、子ども達をそれぞれの世界における十全さへと誘い続けていることが窺える。子ども達が様々に展開する場の中に置かれ移動を前提として生きていく時、その育ちとはどのようなものとして見え、様々な場はそれにどのような意味を持つのか。子ども達の日々の記述を通じて考察した。