共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

軟骨魚類の自然抗体を応用した魚類感染症の新規防除法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
18H03958
体系的課題番号
JP18H03958
配分額
(総額)
44,460,000円
(直接経費)
34,200,000円
(間接経費)
10,260,000円

本年度はチョウザメの血清を用い、チョウザメ抗体が種々のタンパク質および病原微生物に対して結合するかどうかを解析した。ベステルチョウザメ交代に対する抗血清を用い、ELISA法により種々の抗原に対する結合を解析したところ、チョウザメ抗体は解析した全ての抗原に結合することが示された。さらに、免疫アフィニティー法により本結合が特異的なものであることも示した。同様にドチザメ血清を分画し、分子サイズの異なる2種類の抗体画分を得た。チョウザメの場合と同様、抗原に対する結合能を解析したところ、分子サイズの小さい抗体が、種々の抗原に対して結合性を示した。さらに、ドチザメ抗体の抗原認識特性を測定するための蛍光測定ストップトフロー装置の開発を行うとともに、比較のため硬骨魚類の抗原特異的抗体についても解析した。
ドチザメ血清中に糖鎖に結合する抗体が存在するかどうか調べるため、血清をガラクトースおよびマンノースアフィニティークロマトグラフィーに供した。ガラクトースアフィニティークロマトグラフィーにより、本糖に特異的なIgM画分が得られた。得られたガラクトース特異的IgMをビオチン標識し、5種の魚病細菌と反応させた。その後FITC標識ストレプトアビジンを添加し、蛍光顕微鏡下で観察したところ、Aeromonas hydrophilaでのみ顕著な凝集と蛍光が認められた。
チョウザメについては、免疫グロブリン重鎖および軽鎖の遺伝子配列を解析し、重鎖については多様性が高いものの、軽鎖の多様性は低いことを明らかとした。一方、ドチザメについては、次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子発現解析により抗体遺伝子の配列を確認しているところである。また、上記の網羅的遺伝子発現解析により、ドチザメは他の軟骨魚類の場合と同様、液性免疫の成立に関与するT細胞において重要なCD4遺伝子を発現していないことが示された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H03958
ID情報
  • 課題番号 : 18H03958
  • 体系的課題番号 : JP18H03958