2012年
沖縄県における駐留軍等労働者の経済効果について
公共政策研究
- 巻
- 12
- 号
- 0
- 開始ページ
- 128
- 終了ページ
- 140
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.32202/publicpolicystudies.12.0_128
- 出版者・発行元
- 日本公共政策学会
<p>日本には,日米安全保障条約に基づいて米軍が駐留している。米軍の駐留に資するため,在日米軍基地では,駐留軍等労働者と呼ばれる民間人従業員が,米軍の指揮・監督下で労務に服している。本稿の目的は,駐留軍等労働者とはいかなる存在なのかを,根拠条約に基づき明らかにする。その上で,産業連関分析の手法を用いて,駐留軍等労働者が沖縄県経済にもたらしている経済効果を計算することにある。沖縄県における2006年度の軍雇用者所得524億円の総効果は,1,100億円92百万円となった。これは,中間投入を含む2005年の県内生産額5兆7,668億円の約1.9%にあたる。</p><p>このように,失業率が全国平均を上回る沖縄県経済にとって,米軍基地は貴里な雇用の場になっている。その反面,普天間基地返還を含む米軍再編により大規模に返還される駐留軍用地跡地を活用することにより,現米軍基地を上回る経済効果がもたらされることも期待されている。そこで,本稿の後半では,米軍再編を概観し,基地返還により逸失される駐留軍等労働者の経済効果を計算する。その上で,跡地利用の先行事例や今後沖縄が発展させるべき新たな産業を検証することにより,基地が返還された後でも,駐留軍等労働者に新たな雇用の場を提供できる条件を議論する。本稿の貢献は,沖縄県の基地問題に係る議論に対し,駐留軍等労働者という側面から定量的な視点を提供できたことにある。</p>
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.32202/publicpolicystudies.12.0_128
- ISSN : 2186-5868
- CiNii Articles ID : 130007661524
- CiNii Books ID : AA11596983