共同研究・競争的資金等の研究課題

2003年 - 2005年

薬毒物の作用機序の解析に有用な新しい質量分析法

日本学術振興会  科学研究費助成事業  萌芽研究
  • 石井 晃
  • ,
  • 金子 理奈
  • ,
  • 平田 ゆかり
  • ,
  • 浜島 誠
  • ,
  • 平田 公一

課題番号
15659156
体系的番号
JP15659156
配分額
(総額)
3,000,000円
(直接経費)
3,000,000円

覚醒剤をはじめとする乱用薬物は、神経系のドーパミンレセプター等の受容体に作用し、下流の情報伝達系に作用すると考えられており、種々のタンパクがリン酸化等の修飾を受けると考えられている。また、リンやヒ素のような無機薬毒物は、タンパクのSH基に結合して毒性を発揮すると考えられている。これら修飾タンパクの解析に関し、多くの方法が提案されている。しかし、細胞内情報伝達機構の解析には、超微量の生体高分子を検出・同定する必要があり、従来法では対応できない可能性がある。従って薬毒物の作用機序をプロテオミクスから明らかにする場合、例えば従来のエレクトロスプレー(ESI) 法よりイオン化効率が高く、よりソフトなイオン化法が望まれ、本研究においては、レーザースプレー法による修飾ペプチド等の高感度分析を試みている。
昨年度より問題となっていた、レーザーシステムの問題については、日本電子と共同して、新たにスプレーヤーを改造し、レーザー光路を延長して、CCDカメラによるモニターを行うことにより、キャピラリーへのレーザー照射がより容易になった。改造したシステムでは、レーザーによるイオン強度は、従来のシステムよりより安定していた。
このシステムを用いてリン酸化ペプチドの検出を試みたところ、従来のESI法の3ないし4倍程度の感度の上昇が得られた。また、特記すべきことは、レーザースプレーの場合多価イオンだけでなく、1価イオンも検出することが出来、その原因としてはS/N比の上昇が可能性として考えられる。条件の最適化を行えば、修飾ペプチドをさらに高感度に検出することが期待される。
今回の改造で、レーザースプレーシステムがかなり安定になったため、今後は多の修飾ペプチドの検出及び、昨年度に予備実験を行った、プロピオン酸系の消炎鎮痛剤の高感度分析法がほぼ完成し、これら高感度検出法は、法医学領域及び生物学領域において応用可能であることが示された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15659156
ID情報
  • 課題番号 : 15659156
  • 体系的番号 : JP15659156