受賞

2009年9月

日本応用数理学会 論文賞(実用部門)

日本応用数理学会

タイトル
金子 拓也・中川 秀敏 共著論文「B/Sを利用した回収率とそれに基づく貸出債権の適正プライシング・モデル」(日本応用数理学会論文誌 Vol.16, No.3, 2006, pp.317--343)
受賞国・地域
日本

論文賞(実用部門)

[受賞理由]
本論文は,貸出先の信用力および貸手である銀行自身の信用リスク許容度に応じた適正な貸出金利を評価する手法を提案したものである. 回収率を重要な信用リスク要因と考え,デフォルト時回収率の確率分布を貸出先の貸借対照表(B/S)を利用して特徴付けるという新しいアイデアに基づくモデルも同時に提案している. 提案されている手法によれば,粉飾懸念に対する調整も自然に行うことが可能であり,それは現実に起こった破綻企業のデータからも有効なことが確認されている. さらに,実際の非上場企業の財務データを用いた数値実験は,当モデルが実務に即応用可能であることを示している. このように,本論文は今後の展開の基礎ともなり得る実用上有効な研究であると高く評価できる.よって平成21年度論文賞(実用部門)を授与するに相応しいと論文賞委員会は判断した.