2016年9月
「外部性概念の諸相:イノベーション・マネジメント論の観点から」
『国際公共経済研究』
- 巻
- 号
- 27
- 開始ページ
- 26
- 終了ページ
- 34
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
本研究の目的は,イノベーション・マネジメント論の研究史を,扱ってきた外部性概念の観点から整理解釈することにある。イノベーション・マネジメント論は,当初はネットワーク外部性のように生産者と最終消費者の取引がもたらす正の外部性に着目していた。ここに産業集積論や都市経済学の知見が取り入れられることで,多様な正の外部性が検討されるようになった。さらに本論は,イノベーション論の検討対象を負の外部性へと拡張することで,イノベーション論と公共経済学の間に学際的論点があることを指摘する。新規事業の創出は,時としてその負の外部性を抑制するための新規規制を要求することがある。公共経済学の知見の蓄積は,新規性の高い社会問題の記述や新規制の設計に活用することができる。