2012年3月
「事業再編における各組織階層の役割:日立製作所と東芝を事例として」
『日本企業研究のフロンティア』
- 巻
- 号
- 8
- 開始ページ
- 43
- 終了ページ
- 53
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(大学,研究機関等紀要)
本論文の目的は多角化企業の事業再編方法について,各組織階層の役割分担の違いに着目して整理し,事業再編が常に事業ポートフォリオの“選択と集中”を意味するわけではないことを指摘することである。<br />
近年大規模な事業再編を行った東芝と日立について本論文では両社が行った合併や買収・売却などのM&Aに関連するデータベースを作成し,ノンリアクティブなデータを用いて,再編の実体を明らかにした。東芝のトップはコア事業の事業戦略の詳細な内容にまで介入を行い,グループ外部への非コア事業の放出により事業ポートフォリオの複雑性を縮減している。日立のトップは,基本的には社内カンパニー長や子会社の経営陣に事業を任せる方針であり,再編の大半を占めるのはグループ内部での組織再編であった。日立では組織内部を整理し直すことに主眼が置かれており,トップから見た事業ポートフォリオの多様性や複雑性は維持されたままであることが明らかになった。
近年大規模な事業再編を行った東芝と日立について本論文では両社が行った合併や買収・売却などのM&Aに関連するデータベースを作成し,ノンリアクティブなデータを用いて,再編の実体を明らかにした。東芝のトップはコア事業の事業戦略の詳細な内容にまで介入を行い,グループ外部への非コア事業の放出により事業ポートフォリオの複雑性を縮減している。日立のトップは,基本的には社内カンパニー長や子会社の経営陣に事業を任せる方針であり,再編の大半を占めるのはグループ内部での組織再編であった。日立では組織内部を整理し直すことに主眼が置かれており,トップから見た事業ポートフォリオの多様性や複雑性は維持されたままであることが明らかになった。