2019年
青森県三内丸山遺跡北の谷Iトレンチ拡張区の魚類構成から復原した漁撈活動
Anthropological Science (Japanese Series)
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- 巻
- 127
- 号
- 1
- 開始ページ
- 1
- 終了ページ
- 13
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本人類学会
遺跡の魚類構成は先史漁撈研究の基礎データの一つであり,その信頼性はサンプリングと同定の精度に関わっている。魚類遺存体の同定には頭骨を構成する顎骨などが多用されるが,調理され食べられた魚の骨は原形を失っており,日本近海だけでも約4,000種に及ぶ魚種を考古学者が正しく同定するのは困難と思われる。一方,脊椎骨の椎体は遺跡堆積物中でも保存状態が良好であるにもかかわらず,これまで種同定に不向きだと考えられ,ほとんど研究利用されてこなかった。しかし,近年の魚類解剖の成果を応用すれば考古学者でも椎体を使った同定が可能と思われる。そこで今回は,青森県三内丸山遺跡の堆積物サンプル(縄文時代前期中葉)合計約71,400 gから水洗分離した魚類椎体約1,400点を同定した。その結果,全体の約83%は4 mmメッシュを通過する小形椎体が占め,若齢のニシンやサバなどが多く含まれることが判明した。このことから,この遺跡の漁撈の特徴の一つは特定の種類の小形魚の大量漁獲にあると考えられる。
- リンク情報
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- CiNii Articles
- http://ci.nii.ac.jp/naid/130007608888
- ID情報
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- ISSN : 1344-3992
- CiNii Articles ID : 130007608888
- identifiers.cinii_nr_id : 9000400159246