論文

2018年

[研究動向論文]経済投票に関する認知バイアスをめぐる研究の動向 ―修正主義から経済投票の再確認へ

レヴァイアサン
  • 大村華子

63
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)

本稿は、経済投票をめぐる近年の研究動向をまとめるレヴュー論文である。レヴューを通して、近年の経済投票をめぐる分析においては、有権者の認知バイアスの問題、党派性バイアスの問題への対処を通じて、経済評価が政治的な支持に与える影響が抑制的であるとする「経済投票修正主義 ( the revisionism of economic voting)」の知見が導かれる傾向にある。しかし日本に関する先行研究からは、政党支持の効果を考慮した場合にも、有権者の経済状況に対する評価が有権者の選択に影響を与えていることを指摘する。よって経済投票に関する研究においては、一般化可能性の探求ばかりではなく、時期や地域といった個別の文脈にも配慮した上での知見の蓄積が求められることを強調する。

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