論文

2017年12月

上腸間膜静脈血栓症を契機に判明した悪性リンパ腫の1例

日本外科系連合学会誌
  • 大井 悠
  • ,
  • 山本 諭
  • ,
  • 赤井 隆文
  • ,
  • 小川 雅子
  • ,
  • 正木 幸善

42
6
開始ページ
1013
終了ページ
1019
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本外科系連合学会

症例は56歳の男性.上腹部痛を主訴に受診し,腹部造影CT検査で上腸間膜静脈血栓症(superior mesenteric vein thrombosis:SMVT)と診断した.腸管虚血所見や腹膜炎所見はなく,抗凝固療法による保存的治療により症状は改善し,CT検査再検で血栓の増悪なく第11病日に退院した.アンチトロンビンIII(AT-III)の低下がありワルファリン内服を継続していたが,退院1ヵ月後に右側腹部から背部の疼痛が出現,CT検査で全身性リンパ節腫脹を認め緊急入院となった.鼠径リンパ節生検で悪性リンパ腫の診断,化学療法を行うも1ヵ月半後に死亡した.本症例ではAT-IIIの低下は軽度で,悪性リンパ腫がSMVTの発症に関与した可能性が考えられた.SMVTは手術の可能性から外科が診療することが多いが,治療に並行して速やかな原因疾患検索とそれに対する対策も必要である.SMVTの原因疾患として,稀ながら悪性リンパ腫も念頭におくべきと考える.(著者抄録)

リンク情報
URL
https://search.jamas.or.jp/default/link?pub_year=2017&ichushi_jid=J01066&link_issn=&doc_id=20180112200016&doc_link_id=1390282763083619584&url=https%3A%2F%2Fcir.nii.ac.jp%2Fcrid%2F1390282763083619584&type=CiNii&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00003_3.gif
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ID情報
  • ISSN : 0385-7883
  • eISSN : 1882-9112
  • 医中誌Web ID : 2018081404

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