MISC

2017年

放射線刺激により誘発されるインターロイキン34の放射線治療抵抗性における潜在的役割について

聖マリアンナ医科大学雑誌
  • 遠藤 拓
  • ,
  • Muhammad Baghdadi
  • ,
  • 石川 浩三
  • ,
  • 江澤 永倫子
  • ,
  • 梅山 悠伊
  • ,
  • 和田 はるか
  • ,
  • 鈴木 直
  • ,
  • 清野 研一郎

45
3
開始ページ
173
終了ページ
183
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14963/stmari.45.173
出版者・発行元
学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会

<p>放射線療法は手術療法,化学療法と並び,三大がん治療法に挙げられているが,一方で腫瘍再発の起点となる放射線耐性が課題として残されている。がん細胞の薬剤耐性獲得機序には,がん細胞側の内因性機序と腫瘍微小環境(TME)内の骨髄系細胞との外因性機序とが説明されている。近年発見されたInterleukin 34(IL-34)は,マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)と受容体を共有し同様の生理活性を示すが,腫瘍を含む様々な病態への独自の関与が報告されている。最近我々は,肺癌細胞の抗がん剤耐性化にIL-34が上記の内因性,外因性機序の両者に関与することを示した。本研究では,その先行研究を基に,放射線治療適応である前立腺癌および直腸癌細胞株を用いて,放射線の単回および反復照射下にIL-34およびM-CSFの発現変動を調べた。その結果,放射線単回照射では両者の発現誘導が認められたのに対し,反復照射ではIL-34のみが時間経過に伴い顕著な発現誘導を認めた。さらにその機序は抗がん剤刺激と同様にNF-kBを介した経路であることが阻害剤を用いて示された。このことから,長期の放射線ストレスにIL-34が誘導され放射線治療耐性へ関与する可能性が示唆される。今後はさらに放射線暴露によるIL-34のTMEへの作用を精査するとともに,放射線療法との併用としてIL-34標的治療の可能性について探索してゆく。</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14963/stmari.45.173
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130006243228
ID情報
  • DOI : 10.14963/stmari.45.173
  • ISSN : 0387-2289
  • eISSN : 2189-0285
  • 医中誌Web ID : 2018080678
  • CiNii Articles ID : 130006243228
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000376927019

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