MISC

2012年

プロモートームおよび転写制御ネットワークによる薬剤作用の解析

日本毒性学会学術年会
  • 鈴木 治和

39
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開始ページ
S2
終了ページ
3
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14869/toxpt.39.1.0.S2-3.0
出版者・発行元
The Japanese Society of Toxicology

我々は国際科学コンソーシアムFANTOMを組織し、哺乳動物のトランスクリプトーム解析を精力的に行っている。この原動力の一つは、独創的な手法であるCAGE法の開発にある。CAGE法とは、キャップのついた転写物の5'末端の短い配列をゲノムワイドにシーケンス解析する手法である。CAGE配列(タグ)のゲノム上へのマップにより、1ベースの精度でゲノム上の転写開始点を網羅的に同定でき、かつ、その位置からスタートする転写物の発現量(近位プロモーター活性)を実測することができる。最近行なわれたFANTOM4では、CAGE技術を次世代シーケンサーに応用したdeepCAGE法を用いて、細胞分化過程のプロモーターレベルでの転写制御ネットワーク解析に成功した。 薬剤は必ず多くの転写物の発現(トランスクリプトーム)に影響を与えるため、その作用を転写制御ネットワークの変化で捉えることが可能である。しかしながら、薬剤作用に関する詳細なプロモーター解析および転写制御ネットワーク解析には困難があった。すなわち、1)最低百万単位のCAGEタグを集めなければ、特定細胞におけるプロモーター活性を詳細記述するのに十分でないこと、2)CAGEライブラリーの調製過程で、PCRを用いたタグ増幅ステップでバイアスが生じる問題があり、わずかなプロモーター活性の変化をも厳密に捉えることが困難であった。しかしながら、1)については上述したdeepCAGE法により、また、2)についてもPCRを用いないNon-amplified CAGEライブラリー調製法の開発に成功し、低レベルの発現から5桁以上の直線性を持つ、定量性が極めて高いデータが得られるようになった。 本シンポジウムでは、我々の持つ転写制御ネットワーク解析手法を説明するとともに、上記した状況を受けて既にスタートしている、プロモートームおよび転写制御ネットワークによる薬剤作用の解析基盤構築について紹介したい。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14869/toxpt.39.1.0.S2-3.0
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005008989
ID情報
  • DOI : 10.14869/toxpt.39.1.0.S2-3.0
  • CiNii Articles ID : 130005008989
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000283731640

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