2021年4月 - 2023年3月
植物群集の分布の多様性が植食者群集に与える影響
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
本研究課題「植物群集の分布の多様性が植食者群集に与える影響」では、植物群集の空間構造がもたらす近隣植物同士の相互作用に着目し、植物の葉形質の可塑的な変異が節足動物群集に与える影響を明らかにすることを目的としている。
本年度は、植物群集の空間配置および植物間相互作用が植食者の群集構造に与える影響を実験的に明らかにするため、自然条件を模倣した植物群集を構築し、栽培実験を行った。多年生草本4種16株を大型のコンテナに植えたものを野外に設置し、10日おきに植物群集上の節足動物の種と個体数、および各植物体の成長率と食害率を記録した。このとき、植物の配置(凝集/散在)と各植物体間の仕切りの有無を操作することで、植物群集の空間構造と植物間相互作用の影響を評価した(配置2条件×相互作用2条件×4反復)。その結果、植物の空間構造に応じて異なる節足動物群集が形成され、アブラムシやハムシなどの植食者の個体数に影響がみられた。また、空間構造の影響は相互作用の有無に応じても異なる傾向がみられ、相互作用を介した植物の葉形質の変異が節足動物群集に影響を与えている可能性が強く示唆された。また各処理の影響は、時間的にも変動した。とりわけ、20~40日目における条件間の差が大きい傾向にあり、初期の群集形成や侵入プロセスに強く影響すると考えられた。また、アリ類などの植食者以外の高次の生物の分布にも影響がみられ、節足動物間の相互作用に対する効果も明らかになった。これらの結果は、植物群集の種組成や個体数が同じであっても、植物の空間構造の違いによって異なる節足動物群集が形成されており、それらは植物間相互作用の効果に媒介されている可能性を示すものである。
本年度は、植物群集の空間配置および植物間相互作用が植食者の群集構造に与える影響を実験的に明らかにするため、自然条件を模倣した植物群集を構築し、栽培実験を行った。多年生草本4種16株を大型のコンテナに植えたものを野外に設置し、10日おきに植物群集上の節足動物の種と個体数、および各植物体の成長率と食害率を記録した。このとき、植物の配置(凝集/散在)と各植物体間の仕切りの有無を操作することで、植物群集の空間構造と植物間相互作用の影響を評価した(配置2条件×相互作用2条件×4反復)。その結果、植物の空間構造に応じて異なる節足動物群集が形成され、アブラムシやハムシなどの植食者の個体数に影響がみられた。また、空間構造の影響は相互作用の有無に応じても異なる傾向がみられ、相互作用を介した植物の葉形質の変異が節足動物群集に影響を与えている可能性が強く示唆された。また各処理の影響は、時間的にも変動した。とりわけ、20~40日目における条件間の差が大きい傾向にあり、初期の群集形成や侵入プロセスに強く影響すると考えられた。また、アリ類などの植食者以外の高次の生物の分布にも影響がみられ、節足動物間の相互作用に対する効果も明らかになった。これらの結果は、植物群集の種組成や個体数が同じであっても、植物の空間構造の違いによって異なる節足動物群集が形成されており、それらは植物間相互作用の効果に媒介されている可能性を示すものである。
- ID情報
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- 課題番号 : 21J12669
- 体系的課題番号 : JP21J12669