共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

知能電波反射面を用いた無線通信システムの構築と6G時代の情報ネットワークへの貢献

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
21J20615
体系的課題番号
JP21J20615
配分額
(総額)
2,200,000円
(直接経費)
2,200,000円
(間接経費)
0円

ビルや大きなトラックなどの障害物が基地局からの電波を遮蔽し,車両の通信環境を悪化させる恐れがある.よって,安定して通信を行える高い信頼性を有する移動通信システムが必要である.そこで本研究では電波遮蔽による通信性能の低下を克服した頑強な通信システムの実現を目的としており,電波伝搬環境の変動に適応してIRSの反射特性を制御することを可能とする手法及び制御の効率化に取り組んでいる.
本年度は,ネットワークで発生する現象の理論的解析に基づき,本システムの基礎設計を行った.具体的には,第一に,遮蔽減衰による不感地帯をIRSにより解消する際に生じるチャネル推定オーバヘッドを削減することを目的とした選択的反射制御手法を提案した.また,マルチパス伝搬チャネルの不確実性に起因するユーザ間干渉を抑制するために,UEを各OFDMサブキャリアに適切に割り当てる方法を設計した.計算機シミュレーションによる性能評価の結果,提案手法はUEにおける要求SINRを満足しつつ,チャネル推定数を削減できることを確認した.さらに,本手法はIRS数の増加に伴うオーバヘッドの比例的な増加を抑制可能であることが分かった.第二に,ユーザモビリティの予測可能性に基づいて,IRSが一定期間自身と割り当て関係にあるUEに対してビームトラッキングを行う場合におけるIRS割り当て法を提案した.シミュレーションによる評価の結果,ユーザモビリティを無視した静的な割り当て手法と比較して,本手法はUEの接続確率と伝送容量の多目的最適化によって得られるパレート解を改善することができることが分かった.また,通信環境の変化が大きい場合に提案方式が有効であることを示した.
また,本成果を電子情報通信学会RCS研究会にて発表した.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21J20615
ID情報
  • 課題番号 : 21J20615
  • 体系的課題番号 : JP21J20615