論文

査読有り
2019年9月

鉄イオン存在下における塩化物イオン水溶液の放射線分解シミュレーション

Journal of Nuclear Science and Technology
  • 端 邦樹
  • ,
  • 井上 博之*

56
9-10
開始ページ
842
終了ページ
850
記述言語
英語
掲載種別
DOI
10.1080/00223131.2019.1585986

希釈海水等の少量の塩分を含む水溶液中での鉄鋼材料の照射下腐食現象において、材料由来の成分がラジオリシスに及ぼす影響を評価するため、Cl$^{-}$イオンとFe$^{2+}$イオンが共存する系での水溶液の放射線分解シミュレーションを実施した。主要な水の放射線分解生成物であるH$_{2}$O$_{2}$, O$_{2}$, H$_{2}$はFe$^{2+}$イオンの存在により増加した。また、Cl$^{-}$イオンとFe$^{2+}$イオンが共存する系では、これら水分解生成物の発生量がさらに増加した。これは、Fe$^{2+}$イオンがOHラジカルにより酸化されて生じたFe$^{3+}$イオンが、水分子と反応して水酸化物となる際にプロトンを放出し、水溶液が酸性化するためであると考えられた。一方、鉄鋼材料の腐食に対しては、Fe$^{2+}$やCl$^{-}$の反応に由来するH$_{2}$O$_{2}$やO$_{2}$の効果より、FeOOHによる鉄の溶解等の別のプロセスが主に影響を与えているものと推察された。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.1080/00223131.2019.1585986
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5063839
ID情報
  • DOI : 10.1080/00223131.2019.1585986
  • ISSN : 0022-3131

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