ニホンナシおよびリンゴに対して高い品質保持効果を示す1-MCPについて、消費者への直接販売等における活用を容易にするため、ライナーにLDPEをラミネートしたMA包装用として市販されている段ボール箱を用いた処理の実用性を検討した。ニホンナシの'幸水'、'新星'およびリンゴ'王林'の果実を本段ボール箱に詰め、1μl／lまたは2μl／lの1-MCPとともにH貼りまたはI貼りにより封かんし24時間密封することにより、気密性容器内で処理した場合とほぼ同等の品質保持効果が得られた。ニホンナシ、リンゴともに、本段ボール箱を用いた1-MCP処理の効果に封かん方法および1-MCP濃度による大きな違いは認められなかった。I貼りにより封かんしたMA包装用段ボール箱を用いた1-MCP処理は、消費者への直接販売等において利用可能な簡易技術として期待できる。ただし、ニホンナシ'新星'における貯蔵3週間後の食味、リンゴ'王林'における貯蔵8週間後の果肉硬度は気密性容器内で1-MCPを処理した果実よりも低かったことから、処理方法の改良が必要と考えられた。