2014年6月30日
山形県畑谷大沼堆積物の花粉分析に基づく過去60年間の植生とスギ花粉年間堆積量の変化
日本花粉学会会誌
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- 巻
- 60
- 号
- 1
- 開始ページ
- 13
- 終了ページ
- 25
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.24524/jjpal.60.1_13
- 出版者・発行元
- 日本花粉学会
山形県畑谷大沼で採取された湖沼堆積物の花粉分析, GISデータを用いた植生解析およびスギ人工林面積の変化に関する統計資料調査を行い,以下の点を明らかにした. 1)過去約60年の間には畑谷大沼周辺における大きな植生の変化はなく,コナラやミズナラを中心とした二次林とスギやアカマツの植林地が現在まで継続してきた可能性が高い. 2)畑谷大沼堆積物の花粉組成は,湖の辺縁から1km付近のバッファ範囲内の植生割合と最も高い類似度を示した. 3)畑谷大沼におけるスギ花粉年間堆積量は, 1950〜1970年頃には約15〜20×10^3 grains・cm^<-2>・year^<-1>と比較的低い値を示した. 1980年頃以降になると急激に花粉堆積量の増加が認められ, 1990年代後半には約40×10^3 grains・cm^<-2>・year^<-1>までに花粉堆積量が増加した.この花粉年間堆積量の変化は,山形県における成熟スギ人工林面積の急激な増加をよく反映していた. 4)畑谷大沼と琵琶湖のスギ花粉年間堆積量を比較すると,両者には共通した増加傾向が認められた.しかし,琵琶湖の花粉堆積量や空中花粉調査による大量飛散年のスギ花粉量と比べ,畑谷大沼のスギ花粉堆積量は全層準を通して3〜4倍程度大きな値を示した.畑谷大沼のような小さい堆積盆では近隣のスギ林からの花粉供給も大きく,空中花粉飛散量よりも大きな花粉堆積量が推定されることが示唆された. 5)以上の結果は,堆積盆の大きさなどに留意する必要があるものの,湖沼堆積物の花粉堆積量の分析が経年的な空中花粉飛散量,特にその増減傾向を推定する上で有効であることを示している.
- リンク情報
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- DOI
- https://doi.org/10.24524/jjpal.60.1_13
- CiNii Articles
- http://ci.nii.ac.jp/naid/110009830569
- CiNii Books
- http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00187066
- ID情報
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- DOI : 10.24524/jjpal.60.1_13
- ISSN : 0387-1851
- CiNii Articles ID : 110009830569
- CiNii Books ID : AN00187066
- identifiers.cinii_nr_id : 9000017193549