基本情報

所属
北海道大学 大学院文学院 哲学倫理学研究室
人間知・脳・AI研究教育センター(CHAIN) 大学院生
独立行政法人日本学術振興会 特別研究員 (DC2)
学位
学士(人文学)(2021年3月 筑波大学)
修士(文学)(2023年3月 北海道大学)

連絡先
shimizu.philogmail.com
J-GLOBAL ID
202201005790035456
researchmap会員ID
R000039802

カントの徳論の研究に取り組んでいます

研究目的は、(1) カントにおける有徳な行為者モデルを描き出すこと、(2) 現代の倫理理論とカントの関係を再構成すること、(3) カント徳論の応用倫理へのポテンシャルを明らかにすることです。
そのために進めている課題は主に以下の三つです。

1.カントの有徳な行為者モデルの検討

カントは有徳な行為者をどのように構想していたのかを再構成したいと考えています。そこで注目しているのが、有徳な行為を軽快になしうる「自由なハビトゥス」と、有徳な行為に伴う「勇敢でかつ快活な心(das wackeren und fröhlichen Gemüths)」です。これによって、カントの有徳な行為者モデルは、感情を抑圧した苦役を伴うたんなる抑制ではないことを示そうとしています。特に最近は、快活さなどの感情がいかに生じるのか、どのような意味で感情と呼ぶことができるのかという問題に取り組み、「尊敬」「崇高」「自己充足」などの非自然的で理性的な感情の位置づけとの関連から研究しています。

2.カントの徳論の位置づけ

カントの徳論が、あらゆる人間的な感情に関する理論を含みながらも、いかにして形而上学として構想されるのかについて研究しています。方法としては、カントの徳論は人間学的であるという解釈(KuehnやLouden等)を批判的に検討すること、ヴォルフやバウムガルテンなど、カント周辺の18世紀ドイツ倫理思想における徳論としての倫理学の位置づけを検討することを通じて、この課題に取り組んでいます。それによって、義務論としてのカント倫理学の中にカントの徳論がいかに位置づけられるのかを明確にし、現代の徳倫理や帰結主義(功利主義)との関係を、これまでとは違った視点から描き出そうとしています。関連して、効果的利他主義をカント的観点から正当化することは可能であるか、という課題にも取り組んでいます。

3.カントの徳論とNon Human Beingへの倫理
主にカントの徳論の観点から、動物や人工主体(AIやソーシャルロボット、大規模言語モデルなど)に対する道徳的配慮の問題を研究しています。動物倫理の枠組みでは、カントの定言命法の再解釈を通じて動物に対する義務を主張するKorsgaardや、Kantianism for Animalsを提案するMüllerの研究に注目しています。AI倫理の枠組みでは、カントの動物に対する「間接義務」の議論を出発点として、徳倫理の立場から人工主体の「間接的道徳的地位」を擁護することを試み(Coeckelberghなど)を批判的に検討しています。

また、AI倫理研究としては、カントとは独立に、人間以外の存在の道徳的地位の問題や、ロボットと人間の関係性の倫理についての研究を進めています。2024年4月より4か月間、Ludwig-Maximilians-Universität MünchenのThe research unit/professorship of ethics of artificial intelligenceにて、Sven Nyholm教授のもとで在外研究を行っています。


研究キーワード

  5

論文

  6

MISC

  2

講演・口頭発表等

  20

担当経験のある科目(授業)

  1

所属学協会

  6

共同研究・競争的資金等の研究課題

  3

社会貢献活動

  2