共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

自閉スペクトラム症の聴覚における敏感性と鈍感性の神経基盤の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
20K14057
体系的課題番号
JP20K14057
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

定型発達者(健常者)の聴性誘発磁場(M100)のデータは概ね収集を完了した。
1.M100は注意を向けない状況でも出現するとしばしば報告されるが、定型発達者においてはあまりに音圧が低く(音が小さく)、他に注意を向ける対象がある場合、出現しないこともある。この状況であっても自閉スペクトラム症を持つ人(特に聴覚過敏がある場合)ではM100が出現する可能性があり、M100をバイオマーカとして利用するための条件として利用できるかもしれない。
2.聴覚閾値(聴力)を勘案して充分大きな音圧で提示したM100において、研究実施者(渡辺)が既に報告した通り、特に左半球において周波数によって異なる強度が得られた。M100の潜時は自閉スペクトラム症のバイオマーカとして期待されているが、強度はあまり注目されておらず、新規かつ有用な知見である。特に、半球間での差が自閉スペクトラム症群の特徴である場合、潜時では標準データからの「遅れ」を考えなくてはならず、標準データの集積が必要であるのに対し、半球間の差は個人のみで比較可能な可能性があり、有用な結果である。
この成果はBIOMAG2022 (The 22nd International Conference on Biomagnetism)にて公表予定である(採択決定)。また、本研究から派生する成果として、定型発達者であっても自閉症スペクトラム指数(Autism spectrum Quotient, AQ)によって、コミュニケーション中の脳活動が変調することを見出した。この成果の基礎となる研究は43rd Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society(EMBC)にて既に発表している。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K14057
ID情報
  • 課題番号 : 20K14057
  • 体系的課題番号 : JP20K14057