共同研究・競争的資金等の研究課題

2002年 - 2002年

ミャンマーにおける住血吸虫症疫学調査

文部科学省  科学研究費補助金(基盤研究(C))  基盤研究(C)

課題番号
14607006
体系的課題番号
JP14607006
担当区分
連携研究者
配分額
(総額)
3,400,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

ミャンマー国における住血吸虫症の存在は、古い文献による記述があるものの、ミャンマー政府やWHOによる公式報告ではその記述がない。ミャンマー政府の住血吸虫に対する関心は薄く、未だかつて住血吸虫症に関する学術的調査が行われたことはなかった。本調査では、ミャンマー国イラワジ川流域に居住する住民を対象に糞便検査を行い、住血吸虫及び腸管寄生虫の疫学調査を行った。イラワジ川中域に位置するニャンウ市とパッコック市からイラワジ川に近い10村落に住む5-10歳の男女(1村落約30人合計332人、男児171人、女児161人)を本調査の対象とした。検便容器配布時に身長体重を測定し、腹痛・下痢の有無を調べた。回収した便の虫卵検査はホルマリンディタージェント法を用いた。便の回収率は90.1%であった。検査の結果、住血吸虫(0%)、蛔虫(16.1%)、鈎虫(0%)、鞭虫(0.7%)、小形条虫(3.0%)、縮小条虫(1.3%)、蟯虫(1.7%)、ジアルジア(15.4%)であった。有病率は村落によって大きく異なり、地域差と家族集積性が認められた。特に社会経済要因による地域差が観察されたのは蛔虫であり、便所を持たない村落では蛔虫有病率が92.6%だったのに対し、便所を持つ村落では0-27.5%であった。住血吸虫症と診断された患者を1名発見したが、医師・検査技師にインタービューした結果、誤診であると判断された。ミャンマーでの調査は、移動許可書や村落立入許可書などあらゆる許可申請が事前に必要であり、また許可書取得も困難であるため、著しい行動制約と時間消費が要求される。そのため、本研究期間(1年間)では、それほどの進展をみることはなかったが、調査対象村落及び管轄自治体では強固な協力体制を確立することができたため、今後、国際共同研究に発展する素地ができたと思われる。そのため、住血吸虫のみならず、腸管寄生虫などの他の疾患における共同研究プロジェクトへの発展が期待される。なお、今回の調査ではイラワジ川以外の河川で調査を行うことはできなかったが、今回、イラワジ川及び他の河川における英国研究者グループの住血吸虫症大規模調査の準備が進行中であることが判明し、彼らの手によって住血吸虫症が発見される可能性もあることがわかった。そのため、英国・ミャンマー・日本の国際共同研究に発展する可能性もある。

リンク情報
URL
http://kaken.nii.ac.jp/d/p/14607006.ja.html
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-14607006
ID情報
  • 課題番号 : 14607006
  • 体系的課題番号 : JP14607006