共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

上皮成長因子受容体ErbB2経路のリガンドを用いたアレルギー性喘息の治療法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究
  • 井上 英樹

課題番号
18K16160
配分額
(総額)
3,250,000円
(直接経費)
2,500,000円
(間接経費)
750,000円

アレルギー性喘息の病態をマウスにて再現するために、アレルギー性喘息モデルマウスとしてBALB/cマウスに家塵ダニ抽出液(HDM)もしくは、真菌(アルテルナリア)を週2回、6週間、経鼻吸入させました。PBSを吸入させたコントロール群と比較して、HDM、アルテルナリア吸入暴露群両者において気管支肺胞洗浄液中の好酸球が高値でした。気管支肺胞洗浄液中の好酸球の増加はアルテルナリア吸入群でより顕著でした。好酸球性炎症に関与するIL1RL1遺伝子の気管支組織での発現をPCRで検討したところ、アルテルナリア吸入暴露群でIL1RL1遺伝子の発現増強を認めました。真菌吸入によってより強いアレルギー性好酸球性気道炎症が誘導されたと考えられました。6週間の吸入暴露後、マウス気道上皮組織における上皮成長因子受容体(リン酸化ErbB2)の発現を免疫組織化学染色にて検討したところ、コントロール群、HDM暴露群、アルテルナリア暴露群いずれにおいても気道上皮細胞におけるリン酸化ErbB2の発現に有意な差は認められませんでした。一方、HDM及びアルテルナリア吸入暴露群のマウス気道上皮下組織において、リン酸化ErbB2の発現が増強している部位を認め、アルテルナリア暴露群でより顕著でした。好酸球に特異的に発現する蛋白であるSiglec-Fの免疫組織化学染色を行ったところ、リン酸化ErbB2の発現部位はSiglec-F陽性好酸球と一致していました。真菌暴露によるアレルギー性好酸球性気道炎症は、気道上皮に浸潤した好酸球のErbB2活性と関与している可能性が示唆されました。
ErbB2の発現と好酸球性炎症の関連については、気道上皮細胞のみならず今後は好酸球にも着目して研究を進めていく予定です。