共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

検出阻害を克服する新たな環境DNA分析法:阻害要因を加味した生物量推定式の構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K11678
体系的課題番号
JP18K11678
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

本研究では,環境DNAによる生物分布調査を社会に実装するため必須となる,野外における環境DNA検出阻害を加味した生物量推定式の作成を最終目標としている。私達はこれまで,有機物の多い水でも清冽すぎる水でも阻害が発生することをつきとめてきており,本研究では主に水質と有機物に勾配をかけて環境DNA検出実験を行う計画を立てている。
研究初年度となる2018年度は,異なる有機物による阻害程度を知るためにいくつかの野外調査と検証実験とを行なった。国内の様々な環境(湿地,北方湿原,アオコの発生した汚濁止水域,下水の混じる河川水など)から採水した水サンプルを用いて,水中の有機物の状態(溶存態有機物(DOC,特に腐食質),懸濁態有機物(POM:粒子のサイズ,由来(藻類であれば種組成)に着目)による阻害程度を調べた。
採水地は,岡山城東堀・西堀,姫路城内堀,大和川,猿沢池,荒池,トイ沼,越後沼の8地点であり,実験に使用した水サンプルは適宜希釈して有機物勾配をかけ,実験水とした。また,環境DNAの対象生物は主にゼブラフィッシュ,コイとした。
(2018年7月より出産に伴う研究の中断をしているため,詳しい解析などは来年度に行う予定であるが)本研究で得られたデータからは,環境DNA検出率とDOC濃度との相関は,これまでの研究から予測していた負の相関(アオコの発生する水域)だけではなく,水の種類によっては正の相関(水草による有機物が卓越する水域)を示すこともあった。DOCのタンパク質様ピーク,腐植質様ピーク共に有意な相関は得られていない。研究再開後,さらに詳しい解析と追加実験を行う予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K11678
ID情報
  • 課題番号 : 18K11678
  • 体系的課題番号 : JP18K11678