2019年4月 - 2024年3月
身体意識の拡張技術
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
本年度は昨年度までの成果を発展させて,身体意識の形成原理を検証すると共に,これを誘導・再現する技術の構築を進めた.ニューロフィードバック技術を用いた身体拡張の促進技術については,体表面への温感の等価刺激による身体消失錯覚を用いて,身体所有感のトポロジカルな連続性の消失印象の誘導とその再構築について検証を進めた.この結果,AgencyとOwnershipの定義をさらに深化させる成果として従来のラバーハンドイリュージョンの位置遷移の概念が実は位置誤差検出の閾値上昇であることが明らかになってきた.これは従来仮説に対する大きなリバーサルに成り得る.また「脳全域にわたり統一的に保持される身体意識」は本提案における一つのドグマとも言えるものであり,これを数理的に記述するモデル化をスツルムリウビル型連想記憶回路を用い検証を進めた.この結果,Willson-Cowen型振動場が興奮性振動場と抑制性振動場の対として機能することで,二種の定在波形成現象によって皮質内領野が自己組織的に構築される現象を説明することが出来た.さらに本年度は昨年度より開発中のスケール変換ハンドーアイシステムを用いて新たに追加身体(ExtraBody)の随意制御の構成を開始した.この過程においてダビンチのような手術ロボットで頻出する視点移動と手先移動の継時交代的な移動において生じるVR酔いと同様の現象を再現し,これに順応する過程における外科医のOwnershipと臨場感の関係から身体意識の希薄化と再獲得過程についての新たな知見を得て,身体意識の再構築過程に関する設計仮説を新たにすることが出来た.
- ID情報
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- 課題番号 : 19H01121
- 体系的課題番号 : JP19H01121
この研究課題の成果一覧
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講演・口頭発表等
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第28回日本バーチャルリアリティ学会大会 2023年9月
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IROS2022, Workshop and Tutorials 2022年10月23日 招待有り