共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

気体分子等価体を用いる創薬に資する新規触媒的有機合成反応の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K06478
体系的課題番号
JP21K06478
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

気体分子等価体から化学反応により生じる気体分子を「存在量の時間制御が可能な合成素子」として活用することを目指し、以下の新規反応開発に取り組んだ。
一酸化炭素(CO)の等価体を用いる開放系カルボニル化反応の開発について、反応に関与する単工程ごとの詳細な速度論的解析を行い、昨年度までに行った化学種の存在量の時間変化の検討とあわせて、反応速度を自在に制御可能なCO生成反応がPd触媒的カルボニル化反応よりも遅い場合に開放系カルボニル化反応が円滑に進行することを確認し、当初の仮説が正しいことを裏付ける結果を得た。また、反応中間体の解析や反応の計算化学的解析を行い、反応経路に関する有用な知見を得た。
CO等価体を用いる非対称ケトン合成法の開発について、本反応に有効な配位子を見出し、これまでの課題であった再現性を確保できた。これにより、昨年度までに開発した新規等価体を用いて概ね中程度の収率で様々な非対称ケトンが合成できるようになった。さらに、ある種のアミドが光反応条件でアシルラジカル源となることを見出し、非対称ケトン合成に活用できる可能性を見出した。
二酸化硫黄(SO2)の等価体を用いる対称スルフィド合成法の開発において、反応条件の最適化によりヨードアレーン類から良好な収率で対称スルフィドを合成する一般的な手法を確立することができた。反応機構の解明にはさらなる検討を要するが、本反応はSO2等価体から生成するSO2が反応系中で何らかの還元反応を受けることで生じた低原子価の硫黄原子を分子に導入するものであり、過去には特殊な基質に対してのみ進行する1例しか報告されていない極めて新規性の高い反応である。また、過去に報告したSO2等価体を用いるスルホンアミドやスルフィンアミドの合成法とあわせると、SO2等価体を用いて様々な価数の硫黄原子を選択的に導入する手法を開発することができたと言える。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K06478
ID情報
  • 課題番号 : 21K06478
  • 体系的課題番号 : JP21K06478