共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

古代エジプトの「二柱のマアト」の実体解明-「死者の書」を手掛かりにして-

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
21K13117
体系的課題番号
JP21K13117
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,770,000円
(直接経費)
2,900,000円
(間接経費)
870,000円

本年度の研究では、古代エジプト史の後半期における「二柱のマアト」の実態解明のための研究の出発点として、古代エジプト新王国時代第18王朝に利用された『死者の書』の内容から図像として登場する最初期の「二柱のマアト」の実体を考察した。ボン大学が運営する『死者の書』のデータベース(Totenbuchprojekt)を活用し、第18王朝時代に制作された「死者の書」の写本を悉皆的に調査し、「二柱のマアト」の図像が描写された史料を抽出した。その後、それぞれの写本に描写された「二柱のマアト」の記述と図像を個別に分析し、制作時期と制作地をはじめとする史料の情報と組み合わせて考察することで、古代エジプト新王国時代第18王朝における「二柱のマアト」の姿を明確化した。「二柱のマアト」は、同時代の『死者の書』と『アムドゥアトの書』において初めて二柱の女神の図像で登場する。本年度の研究により、第18王朝時代における「二柱のマアト」が多様な姿で描写されることを指摘し、同時代において新たに表出した冥界観における「二柱のマアト」の具体的な役割が依然として変化の過程にある可能性を提示した。
また、「二柱のマアト」の理解を目的として「二柱のマアト」が携わる「死者の裁判」の場面を対象とする文献学・図像学的研究にも着手した。「死者の裁判」に登場する42柱の冥界の裁判官の出自に注目し、第18王朝における冥界の裁判官の共通点と相違点を明らかにした。さらに、これらの研究成果をを国内外の学会において発表し、専門家と進展のための議論を交わした。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K13117
ID情報
  • 課題番号 : 21K13117
  • 体系的課題番号 : JP21K13117

この研究課題の成果一覧

論文

  1

講演・口頭発表等

  7

社会貢献活動

  10