2013年11月
戦間期における大蔵省預金部地方資金制度の展開-1927年長野県における霜害救済融資の事例から-
社会経済史学
- 巻
- 79
- 号
- 3
- 開始ページ
- 49
- 終了ページ
- 68
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 社会経済史学会
本稿は戦間期,地域経済が第一次世界大戦以前の成長基調から停滞へと変化する中で,大蔵省預金部の地方資金制度がいかに展開し機能したかを,1927年における救済融資がその制度的な1つの画期となったことを踏まえ,長野県の事例から分析するものである。大蔵省預金部資金は郵便貯金を主な原資とし大蔵省がそれを運用する資金である。その運用の中でも地方資金制度は1909年以降,様々な危機に対応する中で展開し,第一次世界大戦開戦前後の時期までに,地方資金供給を基盤とする形で勧銀・農工銀・産業組合などが連携する金融システムがおおむね形作られた。それは災害時などの緊急時の救済を主な目的としながらも,地域経済の振興を制度の基礎的な目的の中に含むものだった。戦間期においては1925年の預金部改革によっても地方資金制度がその大枠を変更されることはなかったが,1927年の金融恐慌下で発生した長野県を中心とした大規模霜害に対する救済融資は,預金部を基盤とした金融ネットワークに新たな資金供給ルートと社会的・経済的影響力を付与していくこととなる。
- リンク情報
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- CiNii Articles
- http://ci.nii.ac.jp/naid/110009685917
- CiNii Books
- http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00406090
- URL
- http://id.ndl.go.jp/bib/025039597
- ID情報
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- ISSN : 0038-0113
- CiNii Articles ID : 110009685917
- CiNii Books ID : AN00406090