2019年4月 - 2022年3月
意思決定能力を持たないと判断される人の「最善の利益」の構成要素の更なる解明と考察
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
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本年度は、対応能力を欠くと判断される人にとっての「最善の利益」の構成要素を検討するために、1.対応能力を欠く人の自律尊重に関する考察、2.対応能力を欠く人にとっての「利益」概念の精査という2つの側面から研究を遂行した。
具体的には、1については、特に認知症患者の事前指示の有効性に関する議論や、自律的意思決定とアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の意義と課題をめぐる議論を検討した。これにより、ACPにおける意思決定の課題を検討するとともに、対応能力を有する時点での自律的意思決定や価値や選好が、対応能力を欠く状態の本人の意思決定においてどのような重要性を持ち得るかを考察した。
2については、対応能力を欠く人にとっての現在の利益に関する先行研究の議論をサーベイし、身体的・経験的利益を重視する理論と、選好や価値を重視する理論の比較検討を進めた。これにより、先行研究の議論において、本人が保持する能力・機能の程度に応じて、本人にとっての利益と判断されるものの意味内容が異なり得ること、また、医学的に判断される最善よりも本人の選好や価値を優先する程度が異なり得ることが把握された。このことからさらに、それらの議論の前提となっている理論的根拠を精査する必要性が課題として明確にされた。これらの文献研究と並行して、対応能力を欠く人のケアに携わる家族や専門職者などとの意見交換を継続的に行った。これを通して、対応能力を欠く人の意思決定における自律尊重の現実的な課題と、本人の利益の捉え方に関する情報収集を進めた。
具体的には、1については、特に認知症患者の事前指示の有効性に関する議論や、自律的意思決定とアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の意義と課題をめぐる議論を検討した。これにより、ACPにおける意思決定の課題を検討するとともに、対応能力を有する時点での自律的意思決定や価値や選好が、対応能力を欠く状態の本人の意思決定においてどのような重要性を持ち得るかを考察した。
2については、対応能力を欠く人にとっての現在の利益に関する先行研究の議論をサーベイし、身体的・経験的利益を重視する理論と、選好や価値を重視する理論の比較検討を進めた。これにより、先行研究の議論において、本人が保持する能力・機能の程度に応じて、本人にとっての利益と判断されるものの意味内容が異なり得ること、また、医学的に判断される最善よりも本人の選好や価値を優先する程度が異なり得ることが把握された。このことからさらに、それらの議論の前提となっている理論的根拠を精査する必要性が課題として明確にされた。これらの文献研究と並行して、対応能力を欠く人のケアに携わる家族や専門職者などとの意見交換を継続的に行った。これを通して、対応能力を欠く人の意思決定における自律尊重の現実的な課題と、本人の利益の捉え方に関する情報収集を進めた。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K00006
- 体系的課題番号 : JP19K00006
この研究課題の成果一覧
絞り込み
書籍等出版物
1-
法政大学出版局 2020年3月 (ISBN: 9784588151071)
講演・口頭発表等
1-
日本在宅看護学会学術集会 2021年11月