共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年6月 - 2021年3月

報酬/目的指向行動の神経回路機構

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
16H06568
体系的課題番号
JP16H06568
配分額
(総額)
87,230,000円
(直接経費)
67,100,000円
(間接経費)
20,130,000円

報酬/目的指向行動の神経機構を調べるために、タッチスクリーン学習測定装置を用いて、タッチスクリーンに表示されるキューと報酬を関連づけさせる学習課題を行った。報酬と関連づけさせるキューへのアプローチ行動(sign-tracking)は側坐核の直接路を可逆的神経伝達阻止法を用いて遮断すると増加がみられなくなったことから、sign-trackingに側坐核の直接路が関与することが示された。それに対して側坐核の間接路の関与は見られなかった。次に、側坐核の下流の神経核である腹側淡蒼球について神経回路機構を調べた。エンケファリンプロモーターを用いて腹側淡蒼球の神経細胞を、DREADD法により刺激、可逆的神経伝達阻止法により神経伝達遮断を行なったが、タッチスクリーン報酬学習に影響を与えなかった。一方、側坐核の間接路が関与する忌避学習行動について調べると、DREADD法による腹側淡蒼球の神経細胞刺激により、忌避学習が障害された。このことは、腹側淡蒼球神経回路のうちエンケファリン陽性神経細胞は側坐核間接路の下流で機能している可能性を示唆しており、今後の検証を必要とする。
次に精神疾患における報酬/目的指向行動の神経機構を調べるために、精神疾患モデルマウスとして変異型DISC1トランスジェニックマウスを用いた。このマウスに思春期社会孤立ストレスを加えたところ、薬物依存行動の亢進がみられた。そこで、このマウスの脳内分子変化を検索したところ、DISC1結合蛋白であるPDE4の酵素活性上昇が側坐核特異的に観察された。PDE4蛋白質は間接路細胞に局在しており間接路機能への影響が示唆される。
今後は引き続き、報酬/目的指向行動とその柔軟性における大脳基底核神経回路機構を解析するとともに、精神神経疾患の分子・回路病態を探る。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PLANNED-16H06568
ID情報
  • 課題番号 : 16H06568
  • 体系的課題番号 : JP16H06568

この研究課題の成果一覧

論文

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