共同研究・競争的資金等の研究課題

2011年 - 2013年

農業生態系におけるヒメバチの多様性・機能解明と同定支援・情報システムの構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
11J08527
体系的課題番号
JP11J08527
配分額
(総額)
1,300,000円
(直接経費)
1,300,000円

西日本の里山環境,特に2012年度は近畿地方で大害虫マイマイガが大発生したため,これらの天敵の調査を緊急に行い、海外で重要な寄生蜂とされている種を本州で初めて確認し学会で報告した.本州でマイマイガの天敵寄生蜂の調査は分類が難しいことから極めて乏しく,本研究は,多様性の理解だけでなく森林や果樹園の害虫防除を考える上でも重要である.
ヒメバチ科寄生蜂の分類学的な検討に際して最重要である模式標本の検討のため,ロシア科学アカデミー,スウェーデン自然史博物館,英国自然史博物館で調査を行い,特にロシア科学アカデミーではヒメバチ科寄生蜂の研究者として初めて訪問し,現地研究者との交流や共同研究の提案、極東地域に産する種を多数日本でも認められたことなど,今後の日本の寄生蜂研究推進において極めて大きな収穫を得た.結果として現時点で日本から新たに80種ほどの未記録種を確認しており,これらの中には農地で良く得られる種も存在していることから,農学,生物学双方からみても報告の必要性が高い.
木材に穿孔性昆虫の天敵としてオナガバチ類とケンオナガヒメバチ類,果樹や樹木の害虫となる鱗翅類の天敵として,ウスマルヒメバチ類とチビマルヒメバチ類の研究を行い,未記載種の存在や分類学的問題点を検討し,いくつかは解決することができた.また,応用に際し重要な同定資料の作成も積極的に推進した.
公開中のデータベース(http://himebati.jimdo.com/)を引き続き更新し,情報システムの構築を進めた.ヒメバチ科以外にニーズが高い寄生蜂も加えることにより,寄生蜂を横断的に検索できるように改良した.このサイトは日本昆虫学会電子化委員会よりあきつ賞が授与され,公的に質が保障されるデーターベースになった。
本年度はこれらの他に地域ごとの寄生蜂インベントリー解明を推進し、新技術としてX線CTを用いたシステムの強化を模索した.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-11J08527
ID情報
  • 課題番号 : 11J08527
  • 体系的課題番号 : JP11J08527