稲葉 肇
基本情報
- 所属
- 明治大学 政治経済学部 専任准教授
- 学位
-
博士(文学)(京都大学)
- 連絡先
- Hajime.Inabagmail.com
- 研究者番号
- 00793093
- J-GLOBAL ID
- 201101051014694943
- researchmap会員ID
- B000219019
- 外部リンク
科学史,とくに19世紀後半から20世紀前半にかけての欧米における物理学の歴史的展開を専門に研究しています.主な研究テーマは以下の3点です.
(1) 19世紀後半から20世紀前半にかけての統計力学の歴史
従来,統計力学の歴史はオーストリアの物理学者ボルツマン(Ludwig Boltzmann, 1844–1906)の気体運動論を中心に語られてきました.これに対して私は,19世紀後半から20世紀前半における統計力学の形成過程を,アメリカの物理学者ギブス(Josiah Willard Gibbs, 1839–1903)のアンサンブル理論の形成・継承プロセスを基軸に,計算道具としての統計力学という観点から再構成しました.この成果は拙著『統計力学の形成』(名古屋大学出版会,2021年)にまとめています.
(2) 19世紀後半の力学的自然観
統計力学は,いわゆる力学的自然観を実現するための代表的な道具立てとみなされていました.2023年度から採択された科研費のプロジェクト「19世紀後半における力学的自然観の諸相」では,統計力学の基本理論たる(古典)力学に対するさまざまな理解や,それにもとづいた自然観を存在論,認識論,学問論という観点から整理し,力学的自然観の多様性を明らかにすることを研究課題としています.
(3) 19世紀末のエネルギー論
19世紀末には,力学的自然観の対抗馬としてさまざまな立場が提唱されました.オストヴァルト(Wilhelm Ostwald, 1853–1932)のエネルギー論はそのひとつです.エネルギー論の主張を (2) と同様の視点から読み込んで力学的自然観と対照させることにより,エネルギー論そのもののみならず,力学的自然観,ひいては19世紀末の物理学的世界像の特徴を明らかにできるのではないかと考えています.
その他翻訳など
科学史ならびに物理学史については,欧米から優れた研究成果が出されています.そうした成果を邦訳して紹介することも重要な任務であると私は考えています.これまではたとえば,20世紀の物理学史全般に対する優れた概観を与えるヘリガ・カーオ『20世紀物理学史:理論・実験・社会』上下巻(共訳,名古屋大学出版会,2015年)などの翻訳を行ってきました.現在もいくつかの邦訳プロジェクトに関わっています.
主要な経歴
16主要な書籍等出版物
9-
名古屋大学出版会 2021年9月24日 (ISBN: 4815810362)
-
名古屋大学出版会 2015年7月1日 (ISBN: 4815808104)
-
名古屋大学出版会 2015年7月1日 (ISBN: 4815808090)
主要な論文
7-
国立科学博物館研究報告E類:理工学 41 7-21 2018年12月 査読有り
-
Historia Scientiarum: International Journal of the History of Science Society of Japan 28(1) 36-53 2018年8月 査読有り
-
化学史研究 43(2) 62-71 2016年6月 査読有り
-
The European Physical Journal H 40 489-526 2015年12月 査読有り
-
科学哲学科学史研究 8 1-20 2014年3月 査読有り
-
科学史研究. 第II期 49(253) 1-10 2010年3月 査読有り
主要なMISC
23-
科学史研究 63 299-305 2024年10月
-
ALL REVIEWS 2022年3月
-
現代思想 48(12) 164-174 2020年8月 招待有り
-
日本物理学会誌 74(11) 792-794 2019年11月 招待有り
-
現代思想 47(10) 157-169 2019年8月 招待有り
-
Annalen der Physik 527 A102-A104 2015年12月 招待有り
-
科学哲学科学史研究 4 85-103 2010年
主要な講演・口頭発表等
27-
第70回日本科学史学会年会 2023年5月27日
-
1st Conference of the International Academy of the History of Science 2019年9月13日
-
栁瀨睦男先生帰天10周年記念フォーラム 2018年12月8日 招待有り
-
第65回日本科学史学会年会 2018年5月27日
-
International Workshop on the History of Energetics 2017年3月18日
主要な担当経験のある科目(授業)
18-
2022年4月 - 現在
-
2022年4月 - 現在
-
2019年4月 - 現在
-
2018年4月 - 現在
-
2018年4月 - 現在
所属学協会
3共同研究・競争的資金等の研究課題
5-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 2023年4月 - 2027年3月
-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 2019年4月 - 2023年3月
-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 2014年4月 - 2017年3月
-
日本学術振興会 科学研究費補助金 特別研究員奨励費 2010年4月 - 2012年3月
-
京都大学教育研究振興財団 国際研究集会派遣助成(II期募集分) 2009年4月 - 2010年3月
受賞
1-
2024年3月
委員歴
5-
2018年7月 - 現在
-
2023年4月 - 2024年3月
-
2020年4月 - 2023年3月
-
2017年4月 - 2020年3月
-
2016年5月 - 2017年6月
その他
4-
2022年3月コメンテーターを務めた. https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/75698/0fe88755e3afea583274ea0ccc9b847b?frame_id=708431
-
2018年8月 - 2018年8月Special issue “Energetics Revisited” of Historia Scientiarum: International Journal of the History of Science Society of Japan 28 (2018).
-
2017年6月 - 2017年6月2017年度科学基礎論学会(於琉球大学,2017年6月17〜18日)において,科学史学会との共催ワークショップ「物理学における実在と測定」の科学史学会側のオーガナイザーとコメンテーターを務めた. http://phsc.jp/conference.html#2017
-
2017年3月 - 2017年3月エネルギー論の歴史に関する国際ワークショップのオーガナイザーを務めた. https://sites.google.com/view/ws-energetics-2017/startseite
社会貢献活動
2