基本情報

所属
国立極地研究所 先端研究推進系 気水圏研究グループ 助教、極域データセンター兼任、極域環境データサイエンスセンター兼任

通称等の別名
Hira
研究者番号
10270422
ORCID ID
 https://orcid.org/0000-0002-1537-0069
J-GLOBAL ID
200901016386213714
researchmap会員ID
1000366412

外部リンク

1.研究と活動

大気中に水蒸気として存在する水の一部は凝結や昇華によって雨や雪となり降水として地表面(海洋や陸地)に移動する。地表面からは蒸発によって再び大気中に水が移動する。大気を含む地球表層ではこのような水循環が行われている。極域の水循環の特徴は低温を原因として以下のようにまとめられる。1)小さな水循環:大気中に存在し得る(=大気を通過できる)水蒸気量が少なく、降水量および蒸発量も少ない。及び2)水の蓄積:相変化は固体に向かい、その場所に長く留まるため、南極氷床のような巨大な氷の塊が作り上げられる。

水循環に関わる極域の気象過程には、中緯度や低緯度とは異なる興味深い現象がある。地上から1000m程度までの下層には気温逆転層(上空に向かって気温が上昇する大気層)が発達ている。その層内で昇華凝結した小さな氷の結晶が降水(晴天降水=ダイヤモンドダスト)となる。冬季にはほぼ絶え間なく続く。南極氷床の涵養(氷床への水の供給)は、この晴天降水が大きく寄与していると長い間考えられてきたが、近年その認識は大きく変わりつつある。時折発生するブロッキング現象などの総観規模擾乱に関連して低緯度側から大量の水蒸気が一気に(1日程度で)持ち込まれ降水を起こしていることが明らかになり、年間に10回程度発生するこのようなイベントが総降水量の半分程度をも担っていることが内陸域の多くの拠点観測から分かってきた。数値モデルによる評価も行われるようになった。

このような極域の水循環およびそれに関わる大気循環の変動を、地域規模~全球規模、イベント~年々変化或いは日変化までの広い時空間を対象として明らかにしたい。研究の推進にあたっては、南極観測隊への参加を基盤として、フィールド観測及び昭和基地における衛星データ受信を実施するとともに、国際的に共有されている衛星データアーカイブや全球大気客観解析データ等を利用している。観測データの理論的考察を進めるために数値モデル実験を実施している。また、北極域における研究にも参画している。
さらに、極域・寒冷域の研究コミュニティを広げることを目的に、気象学会の中に極域・寒冷域研究連絡会を組織しその運営を共同で担っている。極地研究所等で実施される各種シンポジウム、論文誌の編集やレビュー、および研究成果の社会還元のための極地研究所南極北極科学館展示・ホームページ編集に協力してきた。

2.主なフィールド観測歴

・38次南極越冬隊(ドームふじ基地、1996.11-1998.3)
・48次南極夏隊(S17拠点・日独航空機観測、2006.12-2007.3)
・56次南極夏隊(しらせ船上/昭和基地/S17拠点、2014.12-2015.3)
・58次南極夏隊(しらせ船上/昭和基地/S17拠点、2016.12-2017.3)
・59次南極越冬隊(しらせ船上/昭和基地/S17拠点/冬季中継拠点、2017.12-2019.3)
・ノルウェー・NyAlesund・降雪積雪観測(1995/96冬季、1998/99冬季、1999/2000冬季、2017-現在)
・北海道陸別町・降雪観測(2012-現在)、WMO SPICE project 登録の観測所(2012-2016)
・ロシア・ヤクーツク降雪観測(2012-現在、GRENE北極事業で立上げ)
・アメリカ・アラスカ・PFRR降雪観測(2015-現在、GRENE北極事業で立上げ)


主要な論文

  74

主要なMISC

  184

主要な書籍等出版物

  14
  • 平沢尚彦 (担当:分担執筆, 範囲:Ⅱ-9 極圏の気候:6 南極圏における総観気候・局地風・地域的な気候特性, 242-243、7 南極圏における雪氷環境, 244-245、8 南極圏における近年(2001~2020)の異常気象・歴史的天候異変」, 256-247、コラム ブリザードと大気の川, 248)
    朝倉書店 2022年7月3日 (ISBN: 9784254161328)
  • Hirasawa, N, H. Konishi, K. Nishimura, C. Genthon, project group of Japan, Meteorological Agency (担当:共著)
    World Meteorological Organization (WMO) 2018年12月
  • 平沢尚彦, 山内恭 (担当:共編者(共編著者), 範囲:編集、及び分担執筆:序章、第1章・南極への大氣・水・物質輸送、第6章・総観規模大気循環システムに伴う物質輸送の描像、第9章・南極氷床の涵養量の分布と年々変化、第12章・ドームふじ基地における降水形成気候、第17章・南極氷床縁辺部のエアロゾル分布の特徴とカタバ風の関わり、第22章・ドームふじ基地の気温逆転層、第25章・特徴的な現象)
    日本気象学会 2017年8月

主要な講演・口頭発表等

  238

主要な所属学協会

  4

共同研究・競争的資金等の研究課題

  8

主要な社会貢献活動

  9