MISC

2020年7月

ANCA陰性半月体形成性腎炎の1女児例

日本小児腎不全学会雑誌
  • 伊良部 仁
  • ,
  • 高桑 麻衣子
  • ,
  • 井上 なつみ
  • ,
  • 田崎 優子
  • ,
  • 清水 正樹

40
開始ページ
214
終了ページ
217
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本小児腎不全学会

12歳女児。嘔気を主訴に近医を受診した際に血尿と蛋白尿を指摘され、前医を紹介受診した。著明な腎機能低下を認め、集中治療室で緊急血液浄化療法が施行された。状態が安定した後、腎不全の精査加療目的に当科へ紹介搬送された。腎生検では、硬化糸球体や間質線維化、尿細管萎縮などの慢性化病変を主とする一方で細胞性半月体や炎症細胞浸潤といった急性期病変を認めた。蛍光抗体法で免疫複合体の沈着を認めなかった。ANCAを含めて種々の自己抗体は陰性だった。ANCA陰性半月体形成性腎炎と暫定診断し管理を開始した。腹膜透析を導入し徐々に腎機能が回復したため、透析を離脱し経過観察中である。ANCA陰性半月体形成性腎炎の小児例はまれな疾患であり、発熱などの全身症状に乏しく診断が遅れ、ANCA陽性例と比較して腎予後は不良であることが報告されている。病因解明と治療法確立のために、小児症例の集積が望まれる。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1341-5875
  • 医中誌Web ID : 2020379928

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