共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2019年3月

気管支喘息および慢性閉塞性肺疾患の新たな病態分類に基づいた個別化薬物療法の構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究(B)  若手研究(B)

課題番号
16K18949
体系的課題番号
JP16K18949
配分額
(総額)
4,030,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
930,000円

喘息や慢性閉塞性肺疾患 (COPD) において、プレシジョンメディスンの実践が求められており、適切な病態分類とサブタイプの特徴に合わせた治療法の構築が重要となる。近年、特に治療の層別化が求められているサブタイプとして、喘息とCOPDを合併する喘息・COPD オーバーラップ (Asthma-COPD overlap, ACO) や通常の喘息治療に対し治療抵抗性を示す重症喘息がある。しかし、これらサブタイプの詳細な病態解析は未だ不十分であり、最適な治療の構築には至っていない。本研究は分子病態型および遺伝子多型解析によりACOや重症喘息の病態を特徴づけ、疾患増悪因子および治療抵抗性因子を明らかにすることを目的とした。
上記の研究目的を達成するため、本年度は、同意の得られた患者より収集した血液検体等を用いて炎症マーカーの測定、遺伝子多型解析、遺伝子発現解析等を行い以下の知見を得た。1) 喘息患者の2型炎症のマーカーであるペリオスチンおよびCOPDの病態マーカーとして報告されているchitinase-3-like protein 1 (YKL-40) を喘息、ACOおよびCOPD患者において測定したところ、ACO患者ではペリオスチンおよびYKL-40の血清中濃度がともに高値であり、ACOの病態を特徴づける新たなバイオマーカーとして有用性が示唆された。2) 喘息患者における吸入ステロイドの治療反応性に関与することが報告されている、glucocorticoid induced 1 (GLCCI1) に注目し、重症喘息の病態との関連を解析した。重症喘息患者では、末梢血単核球中のGLCCI1遺伝子発現量が有意に低下しており、遺伝子発現量の低下は将来の増悪発現のリスク因子となることが示された。このことより、GLCCI1を含む関連分子が重症喘息患者の新たな治療ターゲットとなる可能性が考えられた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16K18949
ID情報
  • 課題番号 : 16K18949
  • 体系的課題番号 : JP16K18949

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