共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年9月 - 2024年3月

加工食品を対象とした残留抗生物質分析法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援  研究活動スタート支援

課題番号
20K23248
体系的課題番号
JP20K23248
配分額
(総額)
2,860,000円
(直接経費)
2,200,000円
(間接経費)
660,000円

2021年度は調理加工に伴う抗菌性物質の加工係数評価に着手した。8種抗菌性物質を注射した模擬残留試料およびオキシテトラサイクリン実残留試料を用いて、茹で加工/揚げ加工時の加工係数を評価した。検討の結果、以下のことが明らかになった。
1. 注射により模擬残留試料の確保を試みたところ、十分に対象8物質を保持する試料を調製することができた。2. 茹で加工/揚げ加工による加工係数は物質間および加工条件間において差異が認められた。3. 茹で加工においては水溶性の高い物質が減少しすく、揚げ加工においては脂溶性の高い物質が減少しやすいことが分かった。4. オキシテトラサイクリンについて模擬残留試料と実残留試料で加工係数を比較したところ、両試料間において類似した値が認められた。
これまで報告されている農作物中農薬の加工係数に関する研究においても、茹で加工では水溶性の高い農薬の減少が認められ、また揚げ加工では脂溶性の高い農薬に顕著な現象が確認されている。これは本研究で得られた知見と一致している。これらの知見より、調理加工に伴う加工係数と化合物の物理化学的性状の間にある関係は農薬および抗菌性物質に共通して存在すると考えられた。これまで農作物中農薬について、模擬残留試料と実残留試料の加工係数を比較した例でも概ね同等の加工係数が認められている。こうした模擬残留試料を用いた加工係数評価は、簡易的に加工係数を評価するために有用な方法であると考えられた。今後は実残留試料を更に収集し、更なる加工係数評価を実施していく予定である。抗菌性物質の加工係数に関与する性状が明らかになれば、加工食品を対象とした残留抗菌性物質の検査を実施するうえで有用な知見となる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K23248
ID情報
  • 課題番号 : 20K23248
  • 体系的課題番号 : JP20K23248

この研究課題の成果一覧

論文

  7

講演・口頭発表等

  12